作品情報とキャストの紹介
宮部みゆきの推理小説を成島出が映画化。
主役の藤野涼子さんは本名非公開でありエキストラしか経験なかったが藤野涼子役に大抜擢されました。
中学生の涼子は大雪が降った朝、校庭で同級生の遺体を発見する。
大人たちが隠そうとするなか不良に虐められていたのを気付かないふりしていた涼子は学校内裁判の真相究明に挑む。
ネタバレあらすじ/ソロモンの偽証
告発状
1990年12月25日、ホワイトクリスマス。
江東区城東第三中学校に通う藤野涼子はウサギ小屋を掃除するため早く登校すると雪に埋もれて死んでいる柏木卓也を発見します。
担任の森内恵美子は泣きながら生徒に伝えました。
警察は自殺と判断したが涼子の父・剛が刑事だという事で家に告発状が届きました。
「不良の大出俊次と仲間二人が屋上から柏木を放り投げて殺したのです」
校長の津崎正男は生徒を守るため告発状のことは伏せておく事に決めるがマスコミに知られてしまいます。
担任の森内は自分宛に届いた告発状を破棄したと疑われ精神的に追い詰められ辞職してしまいます。
森内は郵便物を気が狂っている隣人に盗まれており告発状の事は知らなかったのです。
いじめ
告発状を書いたのは大出から虐められていた三宅樹里でした。
樹里と共に大出から虐めを受けていた浅井松子は見た事を正直に警察に話せば逮捕してくれるはずだと説得するが樹里はそんな事を話せば柏木みたいに殺されてしまうと言い張ります。
やがて事件を目撃したこと事態が嘘だと知った松子は虐めをしている大出たちよりもっと酷いと樹里を説得するが共犯だと言われ泣きながら帰る途中に事故に遭い亡くなってしまいます。
松子の両親は樹里が書いた告発状の事を隠していた学校の対応に不満をぶつけると津崎校長は責任を感じて辞めてしまいました。
涼子は樹里が松子を虐めているのを見て止めるよう言いますが、
大出たちから樹里と松子が暴行されているのを目撃した時は怖くて逃げてしまった事がありました。
その時、柏木から見られていた涼子は「口先だけの偽善者、おまえみたいな奴が1番悪質なんだ」と言われた事が頭から離れず柏木と松子の死に取り憑かれた状態が続き1991年夏、死にたいと考えてしまいます。
しかし涼子は逃げるのを止め真実を突き止めようと学校内裁判をする事を思い付きます。
学校内裁判
柏木の友人である他校の神原和彦と賛同してくれたクラスメイトが涼子に協力します。
強制的に辞めさせようとする教師達の行動に生徒達が反発し学校内裁判は活性化します。
神原は7歳の時にアル中の父親が母親を殴り殺し父親は刑務所で首を吊って自殺していました。大出の弁護役をする事になった神原は無実を証明したいなら裁判に来るよう告げます。
検事役の涼子たちは柏木の両親からホワイトクリスマスの日の通話記録を教えてもらいます。両親も知らない4つの番号はすべて公衆電話からであり電気屋の主人が目撃していたが大出たちではありませんでした。
裁判では最初に尋問を受けたのは刑事でした。
大出の犯行はその場で怒って殴りつけるような単純な行動しか出来ないと述べアリバイは調べてないが無実だと言います。
2日目の裁判、津崎は何回家を訪ねられても学校には行かないと柏木から言われた事を話します。
涼子は他の先生方は何もしてくれなかったが津崎は生徒達を守るため同じ目線で接してくれた事にお礼を言います。
また森内が告発状を破棄したと疑ってしまったことを謝罪しました。
しかし森内は柏木が死んでショックではあるが安堵している自分がいることも事実だと述べます。
柏木の人を見透かした目と言動に森内は追い詰められていたからだ。
裁判3日目、告発状を書いた樹里は嫌がらせのハガキが多数届いていました。
裁判に来た樹里はすべてを死んだ松子のせいにして自分は知らないと答えるとヤジが飛び交います。
裁判4日目、放火犯の弁護士を剛が連れて来てくれました。
大出の家を放火した犯人の代理証言からアリバイが成立した大出だがどうして告発状が書かれたか問い詰められます。
普段から暴力を奮って威張っていた大出には野次が飛びます。
神原は今まで調べ上げた数々の行いを話し相手の気持ちを考えろと責めます。
あの告発状を書かなければ生きてはいけないほど追い詰めたのはあなただと述べると聞いていた樹里は倒れてしまいます。
結末/ソロモンの偽証
裁判最終日、電気屋の主人に目撃した人はこの中にいるか訊くと、そっと神原に指を指します。
4つの公衆電話から神原が電話していました。
柏木から死のうと思っていると告げられ止めるよう説得しますが両親が殺され過去から逃げてる人の言葉なんて人を動かせないと言われます。
家族との思い出の場所を周り、どう感じたか教えてくれれば自殺しないと神原は言われたのです。
神原はこのゲームで楽しかった頃の両親を思い出していました。
今まで逃げていたから楽しかった思い出まで封じ込めていたのです。神原は話したい事は山程あるが心も身体も疲れきっていたので最後の電話で明日にして欲しいと頼むが中学校の屋上に無理矢理呼び付けられたのです。
このゲームをして良かったと話すと柏木は納得しませんでした。
人殺しの息子は同じことをする、おまえみたいな血が流れている者は生きている資格なんてないと言われます。友達と思ってくれてなかったんだと気付いた神原はそれでも自分は生きていくと言います。
帰るなら今すぐ飛び降りてやると言った柏木に、だったら早く死ねと神原は言ったのです。
判決で大出は無罪となります。
殺人罪で裁いてくれと言う神原に涼子は自分も虐めを目撃したのに逃げたことを話します。みんな本当の事を話せないために犠牲者が出ているので誰も神原を裁けないのです。
大出は神原に握手を求め樹里は松子の両親に泣きながら謝罪しました。
涼子はこの裁判がなければ未来に立ち向かう勇気が持てなかったと思うのです。23年後、結婚して中原に名前が変わった中原涼子は母校に教論として戻ってきました(終)