作品情報・キャスト
韓国で実際に起きた「イクサン殺人事件」を基にキム・テユン監督が映画化。
15歳の少年は目撃者として通報したがタクシー運転手を殺害したとして10年服役し、出所後に無罪となった事件。
益山市でタクシー運転手が殺害される事件が起き第一発見者の15歳の少年ヒョヌは通報するがナイフを持っていたことで疑われ逮捕されてしまう。有罪判決を受けた彼は10年の刑期を終えて出所するが被害者遺族への賠償金の支払いに悩まされます。一方、敗訴が続いていた野心家弁護士ジュニョンは話題作りのためにヒョヌに再審を提案します。最初は地位のためと思っていたが捜査するうちに自分も昔はいろいろと見下されていた事を思い出して親密になる。冤罪だと知り初心を取り戻して証拠を探り始める。
ネタバレあらすじ/善惡の刃
2000年8月10日、薬村五叉路(ヤクチョンオゴリ)。
父親が漁に出て死んで母子家庭の15歳の少年ヒョヌはバイクに乗りながら煙草に火を点けようとしたところ目の前に急に人が現れ転倒してしまいます。
すぐ近くでタクシー運転手が車の中で死んでいるのを発見し容疑者を見たと通報するがナイフを隠し持っていたので疑われてしまいます。
班長の座を狙うため点数稼ぎの事しか頭にないペク刑事はヒョヌを署ではなくホテルの部屋に監禁し暴行して自白を強要したのです。
検察は少年による凶悪犯罪の増加を防ぐためにも最高刑を求刑しました。
無実でありながら10年の刑期を終えたヒョヌだが、目の見えない母親は賠償金を払えと強いられていました。
野心家弁護士
ジュニョン弁護士は実家に借金までして妻と娘のためにマンションを購入したが裁判で負け続け苦しみます。今回も1万人の原告のために全財産をはたいて借金してまで裁判したが負けてしまい詐欺だと罵られてしまいます。
ジュニョンは大手事務所で働く友人のチャンファン弁護士に儲けさせてやるからスカウトしてくれと頼みます。金儲けしたいと言い張るジュニョンに対し法務法人テミス代表はこいつはダメだと投げやりに無料法律相談を任せました。
やる気ないジュニョンは、勤労福祉公団から14年前にヒョヌが殺した人の遺族に保証金が払われたがそれは返済しなければいけないと伝えます。
「俺は人を殺してはいない。法は人を守るために本当にあるのか?」
ヒョヌに問われたジュニョンは適当に返事を返すが代表はマスコミ好きであるため冤罪を晴らして手柄を立てれば就職出来るのではないかと思い付きます。
殺人罪で10年を服役し遺族に支払われた労災保険4000ウォンが求償金としてヒョヌに請求され元金に利息がつき現在1億7000万ウォンになっていました。
再起が困難な状態で借金をし返済出来なければ再入所する可能性もありジュニョンはテミスのイメージアップのためにも殺人事件の再審をするべきだと理事会で訴えました。
代表は成果によってはパートナー弁護士にすると言いこの件を受け入れました。
ジュニョンは再審を申請したいと訴えると「求償権の裁判は三カ月後、変更は出来ません」と念を押され資料の観覧許可がおります。
本当に冤罪だった
ソウル記念館で捜査調書を見ると犯人は運転手とトラブルになりナイフで刺したそうだが当日の通話記録を入手すると電話中だと分かります。
タクシー会社に行き駐車した時間を調べてもらうがデーターが消されていました。復元すると2時8分だと分かります。
ヒョヌが母親と通話したのは2時5分39秒、警察に通報した時間は2時9分40秒、通話中に滅多刺しなど出来るわけがないので犯罪可能時間は1分40秒だと分かり再現しても不可能だと分かります。
また、担当刑事は捜査方法に問題あるペク刑事であり、調書にはタクシーのタコメーターの記録はなく原本は紛失、写本は痛みがひどい状態でした。
完全に資料は捏造でありヒョヌは冤罪だと確信するジュニョンは大量出血してるはずなのに血液鑑定すらしていない、そして検察もその事には何も触れていない事に怒りを覚えます。
しかし、捜査に問題があった証拠にはなるが無実の確証にはならないので再審申請は無理だとチャンファンに言われてしまいます。
金儲けの事しか頭になかったジュニョンだがヒョヌに感情移入し気が付くとヒョヌの母親の漁業仲間の相談に真剣にアドバイスを送っていました。
そんなジュニョンを見てヒョヌは一生懸命労働し相談料を支払いました。
再審請求には新たな証拠が必須でありジュニョンは誰かに会わなかったかとヒョヌに聞きます。
ヒョヌが持っていたナイフは一緒にアルバイトする女性スジョンがペクから乱暴されそうになり刺そうとしたので止めに入って取り上げた物でした。彼女をバス停まで送り帰宅する途中でペク刑事と会ったのです。
隠蔽
事件の担当だったチェ・ヨンジェ検事が再審申請を妨害しにテミスを訪れます。
刑事が捏造した調書をなぜ精査しなかったのか聞くとヨンジェ検事は事務所を設立する予定だから連絡してくれと名刺を渡してきました。
ジュニョンは依頼人を裏切るつもりはないと断ると代表は怒らせると損だから止めるよう言いました。
しかしヒョヌが拘置所でペク刑事に書いた手紙を渡されます。犯人でもないのに自供し正しく導いてくれたペクに感謝する内容の手紙でした。
ヒョヌに電話で聞くが「信用してくれないならほっといてくれ」と切られてしまいます。
ジュニョンは交通事故に遭い肋骨を骨折してしまいます。依頼人に騙されていたのかと悩むが病室の外ではジュニョンを心配するヒョヌが立っていました。
ヒョヌはずっと認めていなかったが認めれば減刑すると言われ、これ以上糖尿病で視力がどんどん落ちている母親に迷惑かけたくなくて認める手紙を書いてしまったのです。
ヒョヌはアルバイトで一緒だったスジョンを調べ会いに行きます。
事件当日に自分と一緒にいたと証言してくれないかと頼むと、事件の三年後に群山警察署に「真犯人を知っている」と告発の電話があった事を知ります。
独立を決めたチャンファンから一緒にやろうと誘われていたジュニョンはヒョヌの着信に気付き「もうかけてくるな」と言うつもりで電話に出るが「真犯人を見付けた」と言われ急いで向かいます。
ヒョヌとジュニョンは警察に電話した者を捕まえ自白させると事件当日にシンナーでおかしくなった友達が包丁を預かってほしいと家にやってきた事を知ります。
しかし犯人が二人いては警察と検察の不祥事に繋がるとヨンジェ検事から殴られたペク刑事は、通報した者と真犯人をホテルで監禁して暴行し「二人でシンナーを吸っておかしくなり嘘の自白をしてしまったんだよな」と強要しました。
群山警察の班長は自白通りに凶器の捜索をしていたが令状が棄却されたから中断するよう連絡を受けたのです。
ジュニョンはテレビ局を使い目撃者は勇気を出して連絡してほしいと協力を願います。
「正義感強い弁護士が貧しい者の冤罪を晴らす」となればイメージアップに繋がり代表は進んで協力してくれます。
夜逃げを手伝いトラックで待機中だった者が目撃しており新しい証人がでたことで再審は可能だと思うが警察に逮捕され連れていかれてしまいました。止めようとしたジュニョンも公務執行妨害で連れて行かれてしまいます。
独立資金を調達するためヨンジェ検事と繋がるチャンファンが密告していたのです。
釈放されたジュニョンはチャンファンに裏切られたと知りパートナー弁護士になる事を断り「金ではなく生きるために無罪を証明してやることが大事なんだ」と言い放ちます。
そして弁護士法第26条「職務上知り得た秘密を保持する義務がある」、弁護士法第一条「基本的人権を擁護し社会正義の実現を使命とする」を読み上げ法廷で会おうと言い捨てました。
結末
ジュニョンはヒョヌと出会い弁護士として大切な事に気付くがヒョヌが姿を消します。
部屋からスジョンの住所が書いたメモを発見し会いに行くと彼女は証人を断ったことを知ります。
なんでこんな女助けたんだとジュニョンは腹が立ちます。
その頃、自棄になったヒョヌはペク刑事を尾行すると同じようにホテルに監禁し殴る蹴るの暴行をくわえていたので襲撃をかけます。
ジュニョンはペク達が取調べに使う廃墟したホテルだと気付き駆け付けるとヒョヌが倒れているペク刑事に包丁を振り上げるところでした。
ジュニョンは止めに入り法で解決するんだと説得します。
ヒョヌを利用して就職し金を儲けようとしていた事を正直に話し俺を殺せと促します。
躊躇するヒョヌにジュニョンは「お前の事はよく分かってる。殺人をするような人じゃない。法廷で必ず殺人犯じゃないと証明してやる」と言いました。
実際にこの再審は2016年11月17日に行なわれ少年に有罪が下った16年後に無罪が確定しました。
少年を犯人にした刑事は法廷に立たされ真犯人が逮捕されました。
担当弁護士は多くの再審を担当し再審専門弁護士と呼ばれるようになりました。