作品情報・キャスト
さだまさしによる同名曲のファンである大沢たかおが小説化と映画化を熱望。
ケニアで医療ボランティアをする実在の医師にインスパイアされた同名小説を三池崇史が映画化。
ケニアの医療施設に派遣された航一郎。日本に恋人を残しながらもケニアの地で充実した日々を送っていた航一郎は現地の赤十字病院から1カ月の派遣要請を受ける。
そこで彼が目にしたのは重傷を負って次々と運ばれてくる少年が麻薬を注射され戦場に立たされた少年兵であるという事実だった。
そんな中、病院に少年兵ンドゥングが担ぎ込まれた。
目の前で両親を惨殺され麻薬でかき消されたという深刻な心の傷を抱えたンドゥングと向き合う。
ネタバレあらすじ/風に立つライオン
医師の島田航一郎と大学の同期でもある青木克彦は標高2000メートルのケニア熱帯医学研究所の所長・村上雅行のもとに派遣されます。
航一郎はケニアに行く前、恋人の秋島貴子にプロポーズしていました。
貴子は五島列島の医師である父親が脳梗塞で倒れた報せを受けて帰ると暴風雨に襲われ負傷した人で溢れかえっていました。
診療所は島に1つしかなく貴子は父親の後を継ぐ事に決めプロポーズを断りました。
航一郎は寝坊して飛行機に乗れず三日遅れで到着したが見事な腕であり村上所長は気に入ります。
頼まれたら何でも引き受ける航一郎は「大丈夫!大丈夫」と笑顔を見せ患者を元気付けます。
負傷した少年兵
半年後、ケニア・ロキチョキオの赤十字病院から応援要請があり航一郎は青木と向かうがそこは負傷した兵が運ばれてくる病院でした。
初日から少年兵を含めて4人の切断手術を行った航一郎は自分みたいな半端者が来る場所じゃないと思いながら1ヶ月経ち研究所に戻りました。
村上所長にマサイ村に連れてこられた航一郎は現地の村人からのおもてなしを受け本来の明るさを取り戻します。
翌朝「頑張れ!」と何回も叫んだ航一郎は自らを群れから離れたライオンだと言いもう一度ロキチョキオに行きたいと願い出ます。
ロキチョキオには看護婦として草野和歌子が派遣されてきたが人の命が守れる場所ではなく航一郎は和歌子にも縫合するよう命じます。
航一郎は毎朝「頑張れ!」と叫ぶが自分に向けられた言葉でした。
少年ンドゥングは恐怖心から暴れる事があり腕には注射痕がシコリが出来るぐらいありました。
航一郎はンドゥングが自分の似顔絵を描いてくれた事に喜ぶが傷は深く心を開こうとはしてくれません。
結末/風に立つライオン
研究所に戻った青木と航一郎は帰国する日が近付くがンドゥングが気になる航一郎はもう一度志願して赤十字病院に戻りました。
赤十字病院でクリスマスパーティーを行いサンタクロースの格好をした航一郎はンドゥングに銃型のオモチャをプレゼントしました。
みんなが言葉を失う中、ンドゥングは初めて心の叫びを口にしました。
両親は目の前で殺され自分も人を殺したんだと言い銃型のオモチャを焚き火に投げ入れました。
篤史はドクターになって人を殺した人数以上の多くの命を救えば良いと抱き締めました。
貴子は父親の診療所を継いでから2年経ち帰国した青山から航一郎はケニアに残った事を知らされます。
貴子が漁師と結婚した知らせの手紙を読んだ航一郎は手紙を書いて村上所長に預かってもらいます。
村の診察に出掛ける航一郎は武装集団に遭遇し銃撃戦となり爆弾に巻き込まれました。
和歌子は孤児院を立ち上げ航一郎の帰りを待っていたが数年後ガンで亡くなってしまいます。
貴子に届いた手紙には「お願いだから、幸せになってください」と書かれていました。
数十年後の2011年3月、東日本大震災による被災地で「頑張れ、頑張れ」と口にする黒人がいました。
うずくまる少年に「大丈夫!僕は医者です。ミケランジェロ・コウイチロウ・ンドゥングです」と言いました。