映画/永遠のセロ
百田尚樹のベストセラー作を山崎貴監督が岡田准一を主演に映画化。この三人はその後の「海賊とよばれた男」でもタッグを組んでいる。
あらすじ
ニートの健太郎とフリーライターの姉・慶子は祖母が亡くなったときに「本当の祖父ではない」と爺ちゃんから告げられる。
特攻隊で亡くなった本当の祖父・宮部久蔵とはどういった人物だったのか独自に調査に出るが「臆病者で逃げ回っていた」と知りがっかりする。
しかし調査を進めるうち真相が見え始め衝撃を受けることに・・・
本当に臆病者なのか?当時を知る者を訪ね回り感動が押し寄せる!!
映画も素晴らしい作品ですが向井理の主演で三夜連続でドラマ化された方がオススメです。
キャスト
映画も素晴らしい作品ですが向井理の主演で三夜連続でドラマ化された方が私はオススメです。
黒字は映画キャスト・青色は三夜連続のドラマのキャスト
宮部久蔵(岡田准一)(向井理)
佐伯健太郎(三浦春馬)(桐谷健太)
宮部松乃(井上真央)(多部未華子)
佐伯慶子(吹石一恵)(広末涼子)
大石賢一郎(戦時・染谷将/太夏八木勲)(戦時・中村蒼/伊東四朗)
景浦介山(戦時・新井浩文/田中泯)(戦時・尾上松也/柄本明)
ネタバレあらすじ/永遠のゼロ
宮部久蔵は臆病者
祖母が亡くなった時に祖父から真実が語られます。
「私はおまえ達の本当の祖父ではない!」
ニートの健太郎と姉でフリーライターの慶子は当然えっ?となり実の祖父「宮部久蔵」がどんな人物だったのか調べる物語。
そこで戦友会に手紙を送ってみるとガダルカナルの攻防戦でラバウルに配属していた元海軍少尉・長谷川梅男から連絡をもらい会いに行くわけですが「生きて帰りたいなんて発言する臆病者だった」と言われてしまうのです。
がっかりする健太郎なんですが真珠湾からミッドウェーまで同じ戦場で戦った元海軍中尉・伊藤寛次から「階級が下の者にも丁寧な言葉使いで話す人で勇敢ではないが優秀なパイロットだった」と証言を得ます。
話を聞いた健太郎は「臆病ものではなく、生きて帰りたいと発言したのは愛する妻がいたから」だと思うのです。
生きて帰るため
慶子の仕事仲間で彼女に好意を持つ高山隆司は自爆テロリストと日本の神風特攻隊は同じ構造だと考えており記事にしたいと接近してくるが健太郎は不満を持ちます。
ラバウルで久蔵の部下だった元海軍飛行兵曹長・井崎源次郎は何度も命を救われたらしく撃墜する腕は飛びぬけていたと言います。
「撃墜させるよりも自分が墜とされない事を考えろ」
ガダルカナルからラバウルに戻る途中に同じ列機の小山が燃料切れとなった時には自爆の許可は出さず最後まで生きる努力をさせました。
「娘に会うためには死ぬわけにはいかない」
元海軍整備隊曹長・永井清孝の話で久蔵は音を聞いただけで飛行機の不備が分かる人だと分かります。
比島に配属となり「瑞鸖」の搭乗員となった時に久蔵と再会した元海軍中尉・谷川正夫の話によるとゼロ戦に防御力がない事を悔やんでいたことが分かります。
そして特別攻撃に志願する者は一歩前へ出ろと言われた時にただ一人久蔵だけは動かなかった事を知ります。
「絶対に死ぬ作戦には志願しない」
そして死刑に値するとんでもない言葉「もし特攻を命じられたらどこかに不時着しろ」と谷川は言われていました。
元海軍少尉・岡部昌男は練習航空隊の教官だった久蔵に訓練を受けていたがどんな事があっても合格点をくれない教官だったと言います。
「誰も死なせたくないから・特攻に行かせたくないから」
特攻隊は志願制
健太郎と慶子はなんで特攻を志願したのか?なぜ不時着しなかったのか?と疑問を持ちます。調べれば調べるほど理解出来ない事でした。
二百三十万人の戦死者の1人かも知れないがそれぞれ大事な人がいるわけで死なない人が作戦をたて、自分に危険が及ぶと退いている事に怒りを覚えます。
健太郎と慶子は高山を連れて元海軍中尉・武田貴則を訪ねるが特攻隊員は洗脳されていたと高山が発言したことで「洗脳させ争いを引き起こしたのは新聞記者だ」と武田は怒ります。
「家族や国を想い、残る者の心を思いやって書いた特攻隊の遺書の心の内も読み取れない新聞記者に語りたくはない。」と高山を帰らせた。
武田は久蔵は素晴らしい教官だと慕っていました。死ぬための訓練、急降下からの引き起こしに失敗し仲間が亡くなって時には「軍人の風上にもおけない」と言った上官に立派な男だったと言い返しました。米のシコルスキーが訓練中に襲いかかった時、久蔵とシコルスキーの間に突っ込んでいったゼロ戦がいました。
凄腕の戦闘機乗り
元海軍上等飛行兵曹・景浦介山は「臆病者だったら笑っていられたが抜群の腕を持った戦闘機乗りだった」と言います。
景浦は妻と娘の写真をながめ命を大事にしている奴が最も優れていることに我慢できず模擬空戦をした時に久蔵を目掛け発射レバーを引いてしまったが弾は一発も当たりませんでした。
とんでもない事したと思い自爆しようとしたが久蔵が先回りし機を横切って妨害されました。
「俺は生きている、誰にも言うな、無駄死にするな」
それから1年後に鹿屋で再会したが久蔵がまるで別人のように心がないように感じました。
そして特攻隊員の名前の中に「宮部久蔵」の名が。
景浦は死なせはしない、必ず援護すると決め一緒に飛び立つが機体が故障してしまいました。
帰ろうとしたとき、景浦から抱きつかれた健太郎はなぜ「祖母は元気か?」と聞かれたのだろうと不思議に思います。
結末/永遠のゼロ
鹿屋で特攻隊の電信機を受ける通信員元海軍一等兵曹・大西保彦は特攻隊員を守れなかった時は自分を責め続け久蔵はどんどん面相が変わっていったと言いました。
大西は久蔵が特攻へ行く時に旧式のゼロ戦に乗る予備士官に飛行機を変えてくれと頼んでいたのを見ていました。
しかも久蔵が乗るはずだった飛行機は不備があり不時着したのです。
まさか!!と思った健太郎は予備士官の名前を調べると祖父「大石賢一郎」だと知るのです。
健太郎は賢一郎の家を訪ねます。
賢一郎は慕っていた久蔵と一緒に死ねるなら本望だと思っていました。
エンジン故障で不時着すると久蔵の妻子の写真があり「もし大石少尉が運良く生き残れたら私の家族が路頭に迷い苦しんでいたら助けて欲しい」と裏に書かれていました。
久蔵はエンジンドラブルを見抜いていたのです。
妻の松乃、娘の清子、に会うのには4年もかかったが「身代わりで」なんて言えませんでした。
何回も会っているうちに松乃に惹かれていくと「どんな形であれ生きて帰ると約束しました。あなたが久蔵の外套を着て家の前にいた時、約束を果たしてくれたと感じた」と彼女は言ってくれました。
終戦から9年たち松乃と結婚したのです。
松乃が死んだ時、宮部教官の姿を見た賢一郎は迎えにきてくれたと思いました。
ニートだった健太郎は弁護士になりたい気持ちを取り戻し司法試験にむけて勉強し始め物語は終えます。
感想・原作と映画の違い
このお方は実在した特攻隊員の話をいくつか参考に造られた人物で実在はしませんが教材代わりになると思います。
ガダルカナルからラバウル基地まで戻る時に小山が乗っていたゼロ戦は燃料切れで着水しましたがそこには今もゼロ戦が沈んでいるんですね。
何機墜とすかより自分が墜とされないように戦う考えの宮部は臆病者と言われていた。
しかし調べれば調べるほどそれは愛する妻のもとへ帰る為だったんですよね。人はそれぞれ違った方向から見ると同じ人でもまるで別人のような意見が出る。
最後の最後でエンジントラブルに気付き飛行機を譲るのは正直なんで?と思いました。
昔の人はもし気付いたらそうしていたのかも分かりませんが宮部はあの時代では考えられないと言われていた「生きて帰る」が目的だったのですから。
過酷な戦場で亡くなるなら分かりますが絶対に死ぬ特攻へ行ったのが残念でした。
私は名前が変わっただけで誰かに成り済まして宮部久蔵は生きているとミステリー読み過ぎてそんな事が頭をかすっていましたよ(笑)
ところで映画やドラマと原作は少し違いますね。
ドラマでは、やくざになった景浦は殺そうとした瞬間に宮部の妻と気付いた感じですが原作では景浦は宮部の妻と娘を探して助けたような感じになっております。
そして何より最後です。
映画やドラマは最後黒煙をはき急上昇し空母に向かって突っ込むところで終わってますね。
なんとなく特攻を成功させたように見せて終わっておりますが原作では失敗に終わっています。
急上昇し空母に突っ込みますが爆弾は炸裂せず不発に終わっている。
”ゼロ戦は甲板の真ん中で燃え、パイロットのちぎれた上半身があった。
優秀な迎撃戦闘機と対空放火をくぐりぬけここまでやってきた事に敬意を表し水葬にふした”