作品情報
人気作家・東野圭吾の原作を篠原涼子さん主演で堤幸彦監督が映画化した作品。
娘がプールで事故に遭い脳死判定!!
娘の小学校受験が終われば離婚する予定だった母親は精神が不安定となります。
脳死とは何?心臓が動いているのに「死」を受け止めろと?
他国では脳死の場合は「死」と判断されるのがほとんどだが日本では臓器提供をしない場合は心臓死にならないかぎり「死」と判断されない。
選択を迫られた両親の決断は??
キャスト
●播磨薫子(篠原涼子)
瑞穂、生人の母、娘の受験後離婚予定だが娘の事故で精神不安
●播磨和昌(西島秀俊)
瑞穂、生人の父。ハリマテクス機器メーカー社長、小学校受験など必要ないと思っている仕事人間
●星野祐也(坂口健太郎)
ハリマテクス社員。最先端の技術を使い瑞穂の身体を動かし筋肉を衰えないようにする。
●川嶋真緒(川栄李奈)
星野の彼女。最近会ってくれない星野が何をしてるのか探るようになる。
●美晴(山口紗弥加)
薫子の妹、積極的に姉をサポート
●進藤ドクター(田中哲司)
脳神経外科医
●播磨瑞穂(稲垣来泉)
プールで事故に遭い脳死! 母親に介護され脳死状態のまま生かされ
●播磨生人(斉藤汰鷹)
瑞穂の弟。脳死状態の姉が原因で冷やかされるようになり「姉は死んだ」と友達に伝えるようになる。
経験した人でないと本当の意味では悩みは理解できていないかも。
でも、考えさせられる話です。
ネタバレあらすじ/人魚の眠る家
播磨薫子は夫である株式会社ハリマテクスの社長の和昌の浮気が原因で別々に暮らしているがまだ幼い、瑞穂、生人、2人の子供がいるため離婚はしていません。
そんな家族にいきなり悲劇が!
瑞穂がプールの底の排水口で動けなくなっているところを発見され意識不明で病院に運ばれ脳死だと告げられるのです。
読むまで知りませんでしたが他の多くの国では脳死の場合は「死」と判断されるが日本では臓器提供をしない場合は心臓死にならないかぎり「死」と判断されない。
提供者が子供の場合は親が同意すれば臓器移植が出来るため、ドクターから「臓器提供しますか?」と聞かれ悩むわけです。
これは家族にとって辛すぎる決断をしなくてはなりませんよね。だって「脳死」と言われても本人に聞かない限り分からないですもの。
この瑞穂ちゃんは「四葉のクローバーを見付けても幸せだから誰かのために残しておく」と発言するとても優しい子なため、その言葉を覚えていた両親は臓器提供を決断。
しかし、指が動く娘を見て母親は「生きている」と思うのです。
それは当然ですよね。なんか自分が殺してるような気分になるし、一生懸命「ママ、私は意識があるよ」と娘からのメッセージかもしれない。
娘を家で看病する事を決めた母親は男性にもう会わない事を告げます。男女の関係にまではなってないが自分がこの先愛情を取り娘を捨てるかも知れないと恐れたから。
”男性被験者が人工呼吸器を付けていないのに自発呼吸をしている事に気付いた和昌は研究をしている星野から特殊な横隔膜ペースメーカーが埋め込まれている事を聞きます。横隔神経に電気刺激を与える事で人工的に横隔膜を動かす装置らしく、脳からの信号は一切必要なくベースメーカに信号を出す制御装置に脳の機能を備えさせた”
こうゆう説明は読んでもさっぱり分からない、難しい。
かなり金がかかるが付きっきりで看病している薫子のために和昌は全額負担し星野を毎日通わせます。
脳死である娘の体の数か所に埋め込み自分の力で呼吸させてあげたいと思ったわけですが、家で面倒を見始めてからしばらく経ち、星野が取り組んでいるANC(人工神経接続技術)で身体を動かし筋肉をつけさせると勝手に手が上がったりするので不気味と感じる者が出てきます。
両親は目を覚ました時の事を考え少しでも何かしたいと思う一心なのです。
ただこの星野は結婚する予定の彼女がいるが薫子に惹かれているので協力してるんですよね。違う人だったら協力しないのかとふと思ってしまいました。そんな星野を不審に思い尾行していた彼女は薫子にバレて家に招待されるが寝ている少女の手が勝手に動いたりするので怖くなって逃げ出してしまいます。
薫子には恋愛感情はなかったが星野を離すわけにはいかないので「あまりうまくいっていない」と彼女が言っていた事が本当だったらいいなと思うのです。
瑞穂が特別支援学校の2年生になり新しい先生の新章房子がやってきます。
薫子は先生が「雪乃ちゃんを救う会」のチラシを持っていたので手にすると父親が心臓病の娘を救うために設立したものだと知ります。
世間からバッシングを受けながらも募金を呼びかけていたので薫子は先生の名前を使って手伝います。
活動から分かったのは脳死と診断された親が提供を拒んでいるためにアメリカに渡り莫大な金が必要になってしまうのだと知ります。逆にアメリカでは莫大な金を払って日本が持っていってしまうため非難しているのです。
認めたくないのは親として当然です。親が決定しなければならない事が問題なのです。
薫子は雪乃ちゃんのお見舞いに行きヌイグルミをプレゼントしたあと父親に寄付金を渡すが容体が悪化し帰らぬ人になってしまいました。
葬儀で臓器提供したと知り薫子は涙を流します。
”全機能停止が脳死の定義ではあったが臓器移植のために1985年に脳死判定基準を満たした状態を脳死と呼ぶようになる”
脳死を受け入れていない母親は生きていると思っているが弟の生人は「死人を連れている」と馬鹿にされるようになります。小学生は「言葉の暴力」が分からないし自分を守るために「もう死んだ」と説明する生人の気持ちは理解できますね。
一番苦しみ悩んでいた母親は警察を呼び「心臓を止めても殺人罪にはならないのか?」と聞きます。答えがはっきりするわけでもなく悩み抜いた母親は実際に起これば分かるとナイフを振り上げるが姪の若葉ちゃんにとめられます。
結末・人魚の眠る家
苦しんでいたのは母親だけではなかった。
あの日、若葉がプールの底に物をおとしてしまいそれを拾ってあげようとした瑞穂の指が排水口から抜けなくなってしまったのです。
苦しかっただろうね。。。。母親は泣きじゃくる若葉と生人を抱きしめます。
ある日、母親は娘がそばにいるように感じ「ママ、ありがとう」と耳にします。
母親は納得して「脳死」を受け入れるのですが、無理に解決にもっていったというか曖昧ですが考えても答えが見付からないので仕方ありません。また同じ経験をしないと心の底から分かってあげられないのが読み手にも辛い。
臓器提供すれば「脳死」が「死」となるが臓器提供しなければ「死」にならない。
でも臓器提供し心臓がどこかで動いていたら「心臓死」になるのでしょうか。とても難しく考えさせられる内容でしたね。
瑞穂の心臓は小学生の男の子・宗吾に移植されたわけだが彼は夢の中で瑞穂と会っていました。帽子が飛ばされ塀を乗り越えて中に入ると瑞穂が乗った車椅子を押す薫子が帰ってきました。
眠ったままの瑞穂を見て宗吾は人魚のイメージを持つようになりこれが題名に活かされている。
元気になった宗吾は薔薇の香りを感じる事が多く心臓を提供してくれた人は薔薇の香りがする部屋で深い愛情を受け幸せだったはずだと思うのです。