韓国映画「それだけが、僕の世界」作品情報
ハリウッドでも活躍するイ・ビョンホン演じるジョハが17年振りに母親と再会し存在すら知らなかったサヴァン症候群の弟とごきちない生活をはじめる。
幼少期にジョハだけが父親の酒乱による暴力から逃げれず貧しく辛い日々を送っていたが生きるためにボクシングを始め東洋チャンピオンにまで上り詰めた。しかし今では落ちぶれその日暮らしをしていました。
そんな時に存在すら知らなかった弟の面倒を再会した母親に押し付けられ何かあれば自分が怒られる。やはり我慢できないと海外に行こうとするが母親が病気だと知り・・・
兄弟愛の感動作!!!
ネタバレあらすじ/それだけが僕の世界
落ちぶれ生活
父親の酒乱による暴力から母親インスクは逃げてしまい、そのあと父親が刑務所に入ったので中学生から一人で孤独に生きてきたジョハ。
そんなジョハは生きるためにボクシングを習い東洋チャンピオンまで上り詰めたが40歳になった現在では落ちぶれ漫画喫茶で生活しその日暮らしをしていました。
ある日、食堂に行くとインスクがバイトしており17年振りだったので驚きます。いろいろと過去を思い出し深酒してしまったジョハは車に轢かれ気付くと病院にいました。
看護婦は意識が戻ったことに奇跡だと驚き、体だけは丈夫なジョハはなんでこんな広い個室にいるのかと疑問を持っていたが退院の時に車が迎えにきて豪邸に案内されたので運転していたのは金持ちなんだと把握します。
しかし、「刑務所送りにせず食事まで出したんだから感謝しなさい」と会長に言われ、当たり屋の常習犯だと思われていたので「金なんかいらない、俺はただのボクサーだ」とい言い放ち出て行きます。
家族
母親に一緒に暮らそうと誘われたジョハは戸惑いながらも家に行くとサヴァン症候群の弟ジンテがいる事を初めて知ります。
ジンテの部屋にはたくさんのオモチャや母親と一緒に映る写真がたくさん飾ってありました。自分の事は捨てたのにと思いながらもタダでご飯が食べれて寝るところもあるので、ぎこちないながらも生活を共にします。
異種格闘技の練習相手として雇われたジョハだったが1発の蹴りで失神してしまいます。
落ち込みながら帰るとジンテが大家さんの娘スジョンと格闘ゲームをして楽しんでいました。ジョハは「下手くそ」と言いコントローラーを奪って対戦するが何をどうやっても勝てませんでした。
苛立つジョハは「蹴りを顔面にくらったらそんなすぐに反撃できないんだ」と怒って出て行き路上でチラシを配っていると女性ガユルに話しかけられます。
自分を轢いたのはガユルであり自分を当て逃げの常習犯だと失礼なことを言ってきたのはガユルの母親だと分かるが今頃謝罪してきたので「貧乏人を馬鹿にするな」と言い放ちます。
しかし「いくら欲しい」と言われ200と答えるとその場で200万を渡されます。ガユルは交通事故に遭って片足を失い義足でした。なんか悪いことしているような気分になり戸惑いながらも200万が入った封筒を受け取ってしまいます。
ジンテはサヴァン症候群であるが天才的なピアノの才能がありました。一度耳にしただけで大好きなスマホゲームをしながら弾くことが出来ます。
そんなジンテを溺愛している母親は健康だけが取り柄なので仕事をいくつも抱え頑張っていました。また17年振りにジョハと再会し一緒に暮らせている事が嬉しくてたまりません。
そんな母親に対しジョハは食事中にジンテがお漏らしをしたので施設に入れればいいのにと口にします。まだ恨んでいるのかと聞かれたジョハはそんな事すらも考えたくないので仕事が決まったら出て行くと言いました。
ジョハはジンテを福祉館に連れて行ってほしいとお願いされるがバスの中でトイレと言われ慌てております。するとジンテはいきなりズボンを下ろしながら敷地内に入っていき「大」をしました。
警察に通報されてしまったジョハは野外排泄は法律違反だとして罰金を要求されてしまいました。
何かあったらすぐに電話してくれと伝えてあった母親はジンテが心配でたまらなく説教できる立場にないのに「どんな育ち方をしてきたんだ、ろくでなし」と言い放ってしまいます。
言い返す事すらアホらしくなったジョハはジムを訪ね苛立ちをリングでぶつけるがよそよそしく帰るとジンテから母親はまだ帰ってないと知らされます。
ジンテがいつもヘルメットを被っているのはジョハが怖いからだと知り「もう叩かないから外せ」と伝え一緒にゲームを楽しみました。
二人は遊び疲れて寝てしまい帰ってきた母親は後片付けをはじめました。
関係修復
ジョハは「ジンテもそろそろ独り立ちさせないといけないからまずはピアノコンクールに出そうと思っている」と母親から相談を受けます。
自分は何をすればいいか分からず聞くと1ヶ月ほど出稼ぎで釜山に行くから弟の面倒を見るよう言われ金を渡されます。
優勝賞金が500万ウォンで半分あげると言われたジョハは金を貯めて先輩がいるカナダに行こうと計画していたので承諾します。
スジョンの叫び声を聞いて出て行くと公園でジンテが虐められていました。
ジョハは駆け付け「3分殴らせてやるから当たらなかったら1万払え」と言って稼ぎ、同じ事が起きないよう弟にボクシングを教えます。
家族でご飯を食べに行くと近くの席の人が誕生日で写真を撮って貰っていました。母親が家族写真を撮りたいというのでジョハは仕方なく「俺も今日誕生日だ」と店員に嘘を付きました。
人生で初めて楽しんでいる時の家族写真だとジョハは気付くがジンテは寝るのが早いので負んぶして帰る羽目になります。しかし汗だくでやっとの思いで家に到着しベッドに寝かせた瞬間「ママ」と起き上がりました。
「この前は酷いこと言って悪かった。恨んでるわよね」
ジョハは別に気にしていないと話をそらすが「ジンテをお願いね。たとえ他人でも一緒にいれば情が湧くって言うでしょ」と改まって言われ1ヶ月いないだけなのに大袈裟だなと思います。
ワインで乾杯し母親に踊ろうと誘われたジョハは仕方なくダンスを披露すると母親は喜びます。
兄弟
母親の寂しそうな背中を見送ったあとジョハは「ピアノばっかり弾いてないで男なら働いて稼げ」とジンテを連れ出しチラシ配りを手伝わせます。
ちょっと目を離すとジンテの姿が見えなくなったので必死に捜すとピアノの音が聞こえてきました。ジョハは音色がするほうに急いで向かうと公園にあるピアノで演奏しており大勢の人が集まっていました。
ジョハは自分のチラシ配りよりも一曲の演奏ではるかに儲けていたので驚きます。
どうやって曲を聴いて覚えているのかと不思議に思いジンテのスマホを見ると好きなピアニストがいるのだと分かるが顔を見ると自分を車で轢いたガユルだったので驚きます。
ジョハはジンテを連れて豪邸を訪ね「毎日、演奏を見て完璧に真似てるから見てやってほしい」とお願いするがガユルは事故に遭ってからピアノを弾いていないらしく断られます。
仕方なく帰ろうとするがジンテは近くにあったピアノを目にし勝手に弾き始めると音色を聞いたガユルは戻ってきて隣に座り一緒に演奏しはじめました。
ピアノコンクールでは絶対に大賞を取って500万もらえるはずだとジョハは母親に電話すると「いつから名前で呼ぶようになったの」と聞かれます。名前で呼んでいる事に初めて気付くジョハだったがジンテは残念ながら選ばれませんでした。
見に来ていたガユルは「ジンテはダメでしたか」と審査員に聞くと「リズム・テンポから精度の高さまでガユルとそっくりだったが創意工夫と読解力がない」と言われます。
ガユルは「扱いにくくスター性がないと思ったのでしょう。彼はレッスンを受けたことがなくて曲の読み解き方を教わっていない。私はあなたに何を学んだのか」と告げてその場を後にします。
結末/それだけが、僕の世界
チラシ配りの途中にジンテがいなくなってしまいます。何も言わずに帰ったのかと思い帰宅すると母親が忘れ物を取りに帰っていました。
ジョハはジンテが着ている服の首回りがのびきっていたので弟のために買って持っていたが母親からはチラシ配りを弟にさせ買物していたと思われてしまいます。
CD屋さんでヘッドフォンをしているジンテを見付けたジョハは苛立ち殴ろうとしたが「守るべき弟を殴ろうとしたらダメ」と母親に引っぱたかれます。
弟にはずいぶん愛情があるんだなと思うジョハだったが帽子を被っていても母親の髪の毛がだいぶなくなっている事に気付きます。
仕事場を訪ねると「釜山に出稼ぎ」なんて知らない様子であり、前に大家さんから「これからはあなたがジンテの面倒を見るのね」と意味深な事を言われたのを思い出し問い詰めると病気だと知ります。
17年振りに会い家族として再生してこれかという時に・・・
ジョハは父親の面会に行くと「母親と会ったのか、頭のおかしな子と一緒か」と言われます。
刑務所に入ってもまったく後悔も反省もしていない父親を見て一度も逆らったことがなかったジョハは「今まで散々、母親と俺を殴ってきたぶん出所したらすべて返してやる。だから出てくるな、母親に二度と近づくな」と言い放ちます。
事故後にガユルがピアノを弾き始めもう心残りはないと思った会長は持ち株をすべて売って福祉館に寄付し特別賞受賞者としてジンテを演奏させるよう圧力を掛けました。
母親に会いに行くとあの時の家族写真が飾ってありました。「稼ぐためにカナダに行くよ」と告げると「ジンテを見てくれる人がいたら思い残すことない。私を憎んでもジンテだけは憎まないで」とお願いされます。
ジョハは今まで何を言われても言い返さなかったが自分を置いて出て行った事をはじめて責め「カナダから戻らない」と言い放つと、ずっと後悔して生きてきた母親は「生まれ変わったらあんたのために生きたい。本当にごめんね」と涙を流します。
ジョハは泣きながら病室を出て行き空港に到着するがテレビに特別賞受賞者としてジンテがインタビューに答えていました。
「不可能とは事実ではない、思い込みである。兄に教わった言葉です」
ジョハは病院に駆け付け先生にお願いして母親を特別演奏会に連れて行きます。オーケストラと一緒にたくましくピアノ演奏し拍手喝采を浴びるジンテを見てジョハと母親は涙を流しました。
感想/それだけが、僕の世界
とても良い作品でした。
最後、母親の葬儀を終えるとジンテがいなくなりジョハが公園でピアノを弾いているのを見付け手を繋いで一緒に帰るが拍手喝采を浴びるジンテの場面で終わった方がよかったと個人的には思う。
ジョハが「憎しみ」と「戸惑い」と「喜び」の感情がいったりきたりしているのがなんとも言葉にならないですね。
「家族再生」を一番に望んでいたから何を言われても苛立ちはするものの怒らなかったのかも。
ただ母親に泣きながら思いをぶつけたあとに空港まで行くのはどうかと細かい事だがちょっと思ってしまったが感動作である事に間違いない。