作品情報・キャスト
原作・小松重男の「蚤とり侍」を「後妻業の女」や「愛の流刑地」を手掛けた監督・鶴橋康夫が映画化
藩主に恥をかかせてしまい追い出されたエリート武士は猫の蚤取りを命じられるが実態は女を喜ばせる添寝業だった。
ネタバレあらすじ/のみとり侍
江戸中期、徳川家治(十代将軍)、統治の夏。
将軍の寵愛を受け絶大な権力を握る老中、田辺意次の政策により賄賂が横行していた時代、越後長岡藩の勘定方書き役だった生真面目なエリート侍・小林寛之進は御作拝聴の席で藩主・牧野備前守忠清の歌は盗作だと失言し恥をかかせてしまいます。
「猫の蚤とりになって無様に暮らせ!!!!!!!!!!」
左遷されてしまった寛之進はエリート侍だったため蚤とり(飼い猫の蚤を取って日銭を稼ぐ)とは何か分からず、江戸の町に出かけ「猫の蚤とり屋」を仕切る甚兵衛を訪ねます。
甚兵衛と妻お鈴は「旦那が蚤取りを??」と驚くが生真面目な寛之進に頭を下げられると何処かの屋敷に入り仇討ちするのだと勘違いされます。
長屋に案内され貧しい住人たちと暮らし始めるがそこには子供たちに無償で勉強を教える佐伯友之介がいました。
寛之進は仕事を教わるため猫の蚤取り屋に行くが猫の蚤取りは表向きの仕事で実際には女性に愛をご奉仕し満足させてあげる仕事でした。
殿の命令とあっては断れない!!
寛之進ははじめての客である「おみね」と対面すると亡き妻・千鶴とそっくりだったので胸が高まります。
しかし、、、「この下手くそが!!!」と言われてしまいます。
今までエリート侍として築き上げてきたものがまったく通用せず落ち込む寛之進は小間物問屋「金江屋」の入り婿で江戸1のプレイボーイ清兵衛と出会います。
鬼嫁おちえは浮気癖が治らない清兵衛の一物に饂飩粉をまぶしていたので清兵衛が歩くと白い粉がパラパラ落ちてきます。
妻にバレないために「饂飩粉を持ってきて欲しい」と頼まれた生真面目な寛之進は「どこへでも持って行くからその代わり女を喜ばせる術を教えてくれ」とお願いしました。
寛之進は清兵衛のテクニックを覗き見して学んでいきます。
生真面目であるためグングン成長していく寛之進はついに初めての客だったおみねを満足させる事ができました。
いろんな女性を満足させていく寛之進だったが清兵衛がふんどし姿で長屋にやってきます。
「今日の饂飩粉には塩を混ぜていたのに・・・別の饂飩粉つけてきやがって」とばれてしまい今すぐ出て行けと追い出されてしまったのです。
こうして清兵衛も長屋で貧しい住民たちと生活するようになります。
ある日、無償で子供達のために勉強を教えいつもお腹を空かせていた友之介が空腹に耐えられなくなり猫の餌に手を出したところ噛まれてしまいます。
傷口から菌が入り寝込むようになってしまった友之介を助けるため貧しい住民は必死にお金をかき集めます。清兵衛は「近江屋」掛かり付けの医者がいるから呼んでくると走って出て行くが馬に引かれてしまいます。
友之介は父親の形見である刀を大事に持っていたが「これから人生は続くしやるべき事があるからしっかりしろ」と言われ、これを売れば金になると差し出します。
刀を授かった寛之進は町医者を訪ねお願いするとすぐに宋庵は長屋まで来てくれました。
~秋、
元気になった友之介は子供達に読み書きを教えていると宋庵医師が刀を持って現れました。刀は千両どころか2.3両にもならないと宋庵は気付いていたが住民の人情に心を打たれ治療を引き受けていたのです。
(どうも怪しい。売りに行ったら価値がなかったから返しに来たが住民から慕われ感謝されたので人の良さをアピールした感じ)
老中、田辺意次が失脚すると「蚤とり」が禁止となり犯罪者として追われる身となって捕らわれてしまいます。
ノコギリの刑となり町奉行でさらし者にされた寛之進だが友之介や甚兵衛、長屋で友に暮らした住人が駆けつけ刑を執行しないように守ります。
三日間耐えれば無罪放免。しかし二日目に寛之進は長岡藩家臣に連行されてしまいます。友之介は武士の世界である以上、切腹か打ち首だろうと口にしました。
結末/のみとり侍
屋敷に連れて行かれた寛之進は打ち首を覚悟すると「その人だけは殺してはいけない」と清兵衛が暴れます。清兵衛は牧野備前守忠清が乗る馬に蹴られ記憶喪失になり長岡藩家臣となっていたのです。
そこに殿が現れます。
すると記憶が戻った清兵衛は自分も「のみとり」だと言い寛之進は「のみとりをしながら仇討ちを狙っていたのです。それを指図したのは殿、あなたでしょう」と言いました。
清兵衛の話のうまさに殿は笑ってしまいます。
汚職まみれの藩士たちに寛之進は命を狙われていたが家中の娘を次々と紹介されていた殿・牧野備前守忠清は女に目がくらみその事を黙っていました。
「お家騒動が明るみに出るのを恐れ、それを防ぐために、殺すかわりにのみとりを命じた」
まさかノコギリの刑になるとは思っていなかった殿は反省し「寛之進は必要な存在だ」と言いました。
「お家騒動の沈静、そして越後長岡藩の粛清を命じる。猫の蚤とりになれとの命を守ったぐらいだ、不忠な藩士をぶった切るのは容易いことだろう!長岡藩の仇討ちだ!」