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東野圭吾「ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人」ネタバレあらすじを感想を交え結末まで詳しく紹介

 

ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人

新たなヒーローが誕生した東野圭吾の2020年最新作

 

原作・東野圭吾

1958年生まれ。85年に「放課後」で第31回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。99年に「秘密」で第52回日本推理作家協会賞、2006年に「容疑者Xの献身」で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、12年に「ナミヤ雑貨店の奇蹟」で第7回中央公論文芸賞、13年に『夢幻花』で第26回柴田錬三郎賞、14年に「祈りの幕が下りる時」で第48回吉川英治文学賞を受賞。近著では「沈黙のパレード」「希望の糸」「クスノキの番人」などがあり、ゲレンデを舞台とした「恋のゴンドラ」「雪煙チェイス」などの雪山シリーズも代表作の一つ。
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あらすじ

コロナの時代にヒーローが現われた。名もなき町で多くの住民の期待を集めていた計画が進んでいたが世界中を襲ったコロナウイルスの影響で白紙になってしまい、更に殺人事件が発生する。

犯人はもちろん犯行の流れも謎だらけであり警察は被害者遺族にも関係者にも捜査過程を教えてくれない。

「俺は自分の手で警察より先に真相を突き止めたいと思っている。警察にはできないが俺にはできるということもあるしな」

犯人と探偵役の知恵と仕掛け!騙されるな

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ネタバレあらすじ/ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人

 

殺人事件

建築会社に勤める7つ上の先輩・中条健太と結婚を控える神尾真世は同窓会の招待メールが桃子から届き父親が先生だった事から親子で出席するのはいかがなもんかと迷います。

「コロナの影響もあるからさっさと帰省しちゃえば?」と言われエリートだった杉下や漫画家として成功した釘宮が来ると知り懐かしく感じるが白血病で亡くなった津久見の追悼会をやると聞いて動揺します。真世にとって初恋の人だったからです。

その頃、酒屋を営んでいた原口浩平はコロナの影響で大打撃を受け危機感を抱いていました。配達の帰り中学時代の先生を訪ねると庭で倒れているのを発見し既に亡くなっていました。

父親・英一が亡くなったことを知った真世は急いで実家に戻ると温泉地でもある地元に観光客がまったくいない事に気付きます。

死亡時期と死因は分からないみたいだがどう見ても事件性があるのは明らかなようでした。しかし何があったのか、何で事件性があるのかは教えてくれませんでした。

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マジシャンの帰省

真世は「幻脳ラビリンス・ハウス建設予定、五月オープン予定」というポスターが多く張ってあるのに気付きます。幻ラビは同級生の釘宮克樹が書いた漫画で大ヒットし主人公が住んでいる家を再現する計画だったがコロナの影響で中止になってしまったのです。

町おこしとして持ち上がった計画であり地元の人間が出資している事から大損した人もいました。

警察と一緒に犯行現場(実家)に足を踏み入れると荒らされていたが、そんな時、勝手に俺の家で何やってんだと怒鳴り声が聞えてきました。母親は既に亡くなっていたが恵比寿で店を経営している英一の弟・武史の住民登録がされている事を思い出しました。

捜査協力で家は立ち入り禁止となり真世は従うと武史は宿泊費用を要求していました。2年振りに何で急に帰ってきたのか気になり宿泊代を払ってあげる条件で聞くと部屋に動体検知機能の付いたカメラが仕込んであり動くものがあれば撮影され送信する仕組みになっていたのです。

また何も情報を与えてくれないことで武史は特技を生かし警部の携帯を抜き差しして情報を得ていました。武史はサムライ・ゼンという芸名の元マジシャンでアメリカで仕事をしていた経験があり「殺害方法は絞殺らしい」と言いました。

・スーツを着て出掛け東京のホテルへ行き帰りにラーメンを食べて帰宅。

・玄関から入り靴を脱いで書斎に入る。

・裏に不審者がいるのに気付き格闘しタオルのような物で絞殺される。

 

情報

真世の叔父・武史はマジシャンとしてのテクニックを生かし人の携帯を抜き差しして情報を得ていくのだがちょっとがっかり。東野圭吾さんは一番好きな作家さんでミステリーを期待していた事もあるが私の中では「中の中」って感じ。マジシャンのテクニックを生かすのは良いとして推理が出来過ぎなんですよね。なんでも「過ぎ」はよくない。何にも知らないのに勘が鋭すぎて巧みなしったかぶりで誘導して相手からすべてを話すよう仕掛ける。ありえない・・・。うまく行きすぎ

そんなわけで刑事の携帯を盗んで容疑者リストを手に入れたり盗聴器を仕掛けたり巧みな話術で相手から話を聞き出し情報を得ます。

 

・第一発見者の酒屋を営む原口は新しい酒のネーミングを「玄ラビ」の主人公の名前「零文字アズマ」にしたがっていた。

・英一が津久見の追悼会で何かサプライズをしようとしていた。

・柏木(建設会社)たちが「玄ラビ」を利用して町おこしを計画していたので相談されても耳を貸さないよう九重(広告代理店)と釘宮(漫画家)が訪ねていた。

・先生の東京行きを知っていたのは桃子(専業主婦)、杉下(IT企業経営者)、牧原(銀行マン)、沼川(居酒屋経営)の4人。

・葬儀に参列した英一の教え子・森脇敦美から牧原はいないのかと真世は聞かれる。

・先生のスマホには森脇から何らの留守電が残されていた。

・玄ラビを舞台化して専用劇場を町に作る計画

・森脇の父親は有名な実業家でありコロナで亡くなったが遺産が消えていた事で銀行の担当者に聞いて欲しいと英一に相談(留守電の内容はおそらくそれだろう)

(中学の先生がいつまで経っても皆から慕われ頼りにされるなんて、そんな人に出会った事ないし聞いた事もないから羨ましい。釘宮がなんかかわいそうなキャラだな、ずっと友達でいてお願いされるならまだしも・・・九重が最初何様なのかと思ったが結果的に釘宮は守られていますね、いまのところ・・)

 

推理

武史は森脇の父親の口座から大金が消失し英一に相談したとゆう事は担当者が牧原なのだろうと予想します。

また刑事から「タバコを吸っていたか、ライターを持っていなかったか」と聞かれ存在していたら見せてくるはずなので遺体からライターの痕跡が見付かったのだろうと気付きオイルではないかと思います。

容疑者リストを見ると英一が東京に行った日に町にいた人しか載っていませんでした。載せる必要がなかったのかも知れないと思い娘の婚約者・健太に探りを入れると実家に帰っていた事が確認されました。そこで夫婦どちらとも英一に関係がある者はいないかと調べると桃子の夫が浮上します。

真世は聞きたいことがあると連絡して来てもらうと夫とはうまくいかず実家に逃げてきたことが分かります。

あの~、家でやたら怒鳴り散らしダメ出しばっかりするのはコロナの影響ではなく素だと思いますよ。普通はストレス溜まっても大切な人生のパートナーに暴言は吐きません。仕事をして家に帰るだけの日々が続くからあまり素がでないだけで定年を迎えてから家にいるようになり威張り散らすようになる人は多いと思います。現にコロナの影響があっても夫婦仲良くしてる家庭の方が圧倒的に多い。注意はするけど一言注意されただけでキレるような自己中で自分が見えない性格のはず、そして外面だけはいい。夫婦なんてそんな事の繰り返しだなんて言葉がありましたがそれは絶対に違う、家で暴言吐くような人とは別れるべきだと思います。

英一は二人がどうやったら夫婦としてうまくいくのか考え桃子と話をしたあと会いに行った事が分かります。

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真相解明

津久見の実家を訪ね英一が教え子の中から気に入ったものを集め自費出版しようとしていた途中なので直也(中学時代に白血病で死去)が書いた作文が残っているなら見せて欲しいと訪ねます。

父親の形見であるパソコンを使っていたと知り序でにお願いして借りると何もなかったが復元に成功するとお目当ての原稿をゲットします。

真世は同窓会を控え「どんな気分で接しればいいか分からないのでアリバイが確認出来たひとだけでもいいから教えて欲しい」と警察にお願いすると、原口、柏木、沼川だと知らされます。またアリバイとはならないが桃子と牧原は実家にいて、釘宮と九重もアリバイと言っていいでしょうと曖昧な言い方されます。

同窓会に出席した真世は武史に言われていたように香典返しをしたいから残って貰うよう伝えます。

 

英一に化けた武史がやってきて葬儀の遺影に仕掛けていた隠しカメラの映像を流します。

しっかり見る事が出来ていなかった牧原にやましい事でもあるのかと聞きます。森脇の父親から資産を一つにまとめたいと相談を受けた牧村は1億あるのを確認し計画に出資してほしいとお願いしました。町おこしならと受け入れてくれたが名前が乗る事を拒んだため会員権購入という形を取りました。

コロナで亡くなってしまい更に計画まで消えた事で着服したことを英一に問い詰められ殺したのではないかと疑うと柏木が次の計画に回そうと提案しただけで着服したわけではないと言いました。

 

結末・解説

武史は九重にアリバイを聞くとプライバシーの事だから言えないと告げられます。釘宮が一緒にホテルにいたと証言したので「友情を大切にするようだが過ちを犯した者を庇うのは友情ではない」と告げます。

釘宮は好意を持っていたが九重にはどうみてもビジネスで近付いているようにしか思えず調べたところ玄ラビのオンラインゲーム化するビジネスが進行中だと知りました。IT企業も名乗りを上げている事が分かり杉下と繋がっているのではと疑いホテルの防犯カメラを調べた結果、1時間遅れで杉下が到着していました。

「釘宮は一緒にいたことにして欲しいと九重に頼まれて嘘を付き、杉下は不倫している事がどこからか英一にバレてしまい殺してからホテルに向かったんじゃないのか」

杉下は不倫は認めたがそんなんで殺すはずないと言います。

 

葬儀の時の映像が再び流れると釘宮だけは目を閉じて焼香していました。これは精神を揺さぶるのが目的であり実際は目を開いていたが映像を細工して閉じさせていました。

・津久見と釘宮は親友だった。

・英一が追悼式で何かサプライズをしようとしていた。

・ライターのオイルが検出された事で目的は簡単に燃やせるものだったのではないか。

津久見の母親の話から亡くなった時に釘宮に手紙を渡した事を知りパソコンを復元して「将来の夢」を読み犯人だと確信しました。

「玄ラビ」の物語を書いたのは津久見だったのです。

実は釘宮は絵を描くのはうまいが物語を作るのはいまいちでした、一方、漫画家になりたい夢を持っていた津久見は物語を作り上げるのはうまかったが絵はうまい方ではありませんでした。

英一は「玄ラビ」を見たときに津久見の「将来の夢」の作文と同じだと気付き親友が夢を叶えたのだと感動しサプライズで追悼式で発表したいと思っていたのです。

しかし釘宮は「パクった」と言われるのが怖く燃やしてしばえばいいと思い留守を見計らって侵入したがバレてしまい気付いたらタオルで絞殺してしまったのです。

動揺した釘宮はパニックになり出て行って屋上に向かったが武史から飛び出してきた者は犯人だから捕まえるよう頼まれ張っていた警察に取り押さえられました。

(結末には納得しましたけど出来過ぎの推理は最後だけにしてほしかったのが正直な感想。また帯には騙されないようお読み下さいと書かれていたがどこを騙そうとしていたのかちょっと分からない。そして英一がこんなに多くの人達から慕われる理由も正直分からないし桃子の夫婦関係のアドバイスもちょっとズレているし余計なお世話感を抱いてしまいますね。慕われるような人物像を感じられなかったのが残念。)