作品情報/マスカレードゲーム
東野圭吾の原作、累計発行部数480万部突破した「マスカレードシリーズ」で第4弾
解決の糸口すらつかめない3つの殺人事件が発生。
殺害方法と被害者は過去に人を死なせた者であることがわかり捜査を進めると被害者たちを憎む過去の事件における遺族らがホテル・コルテシア東京に宿泊することが判明する。
警部となった新田は再びホテルマンに扮し潜入捜査を開始し、犯人逮捕のためなら手段を選ばない梓警部と衝突しながら難事件に挑む。
東野圭吾
累計発行部数480万部突破しているマスカレードシリーズの4弾、前回マスカレードナイト、前々回マスカレードホテルは木村拓哉と長澤まさみ共演で映画化され大ヒットしているので映画化も期待される作品
ネタバレになりますのでご注意ください
ネタバレあらすじ/マスカレードゲーム
3つの殺人事件
青年・入江悠斗がナイフで刺され亡くなっているのが発見される。少年院にいた過去があり、植物状態にさせられ一年後に帰らぬ人となった神谷文和の遺族から憎まれていた可能性はあったがアリバイがありました。しかし警察は入江が殺害された事を知っていたのがひっかかり被害者の母・良美を尾行します。
強盗殺人で懲役18年の実刑判決をくらい去年出所したばかりの高坂義弘が刺されて亡くなっているのが発見される。また飲食店経営の村山慎司がナイフで刺され亡くなっており、元恋人の全裸画像などをインターネットで公開し有罪判決を受けていた過去がありました。被害者は精神的に追い詰められ自ら命を絶っていました。
共通点
どの被害者もナイフで刺されており被害者は過去に犯罪を犯し人が死んでいる共通点がありました。
被害者が過去に犯した事件の被害者遺族にはアリバイがありました。
新田警部は神谷良美を尾行させた捜査員からホテル・コルテシアに宿泊したと報告を受け、過去に二度潜入捜査の経験があったので自ら向かいます。
現在、宿泊部長に出世していた久我を訪ねて理由を話し宿泊者や予約リストを特別に見せてもらうと自殺した少女の父・前島隆明と高坂によって殺害された被害者の長男・森元雅司の名を発見します。
被害者遺族が勢揃いするのはただの偶然とは思えず交換殺人の疑いが浮上します。
潜入捜査
仲間がいてこれから被害者が出るのではと推理した警察はホテル・コルテシアの協力を得て潜入捜査をすることにし新田は成り行きでフロントラークに就きます。
犯人逮捕のためなら手段を選ばない梓が違法捜査をしでかすので新田はこれまでの経緯を話し実績の中で我々が築いた信頼関係を壊すような真似はしないよう忠告します。
支配人に呼ばれた新田は梓の件で苦情じゃないかと思い訪ねるとそこにはロサンゼルスから帰国した山岸尚美がいました。警察との連携役として支配人に呼ばれたのだと聞かされ、かつて潜入捜査をするときにタッグを組んでいた新田は再会を喜びます。
神谷良美と森元雅司が部屋から出たと知らせを受けた新田はハウスキーピングに立ち会うことになっている部下に連絡すると梓と交代したと言われます。管理官は違法捜査をする梓が単独に調べるのを期待して許可していました。
勝手に客の荷物を触ったりはしていなかったと尚美に知らされ何で自分の部下を遠ざけたのか不思議に思います。すると前島が入る予定の部屋を調べていたと知り調査するとベッドの下に盗聴器を仕掛けたのだと確信します。
ホテルマン
サイバー課によって森元雅司が10年前に立ち上げたブログが見付かり、刑罰の訴えを目にした神谷良美と前島隆明が共感して接触した可能性が出てきます。人の命を奪っておきながら相応しい刑罰が下されていない事を訴えるために最後に交換殺人を明るみにさせるためにホテルを舞台に選んだのではないかと推理します。
ブログで取り上げられた事件を調べそれに関わる者が宿泊していないか分析を急ぎます。
新田はゴールドカードを手にする若い女性・沢崎弓江を目にし金持ちだという事は一目で分かったが連れている男性とどう見ても釣り合わないので気になります。
偶然にも宿泊するヤメ検弁護士の葉月に会ってしまい男性の行動を報告して欲しいと頼まれスマホの画面を見ると沢崎弓江と一緒にいた人物・佐山涼でした。
結婚詐欺の罪に問われる男性から依頼を受け、被害者女性はパトロン体質だと強調するために過去の男を調べていると言われ困惑します。事件に関係なければ教えようとしたがクスリでの逮捕歴がありました。
盗聴器を仕掛けていた事を知った尚美は激怒すると新田は最後まで反対だったと梓から聞かされます。協力を頼まれても客のプライバシーの侵害であり犯人とも限らない、また犯人じゃなかった場合、会話が漏れない証拠もないので賛成できず客が部屋から出るときに1つずつ盗聴器を回収し警察に返します。
容疑者
森元が書いていたブログで男性・大畑誠也を刺し殺した女性・長谷部奈央が薬物中毒下で心神喪失状態で不起訴処分になっていた事件がありました。
被害者の両親・大畑信郎と貴子の顔写真を目にした新田は小林三郎の名前でチェックインした者だと気付きます。
大畑がチェックインしたときの映像を確認すると妻の方が腕時計を合わせているのを目にしロスから帰国した尚美が同じ行動をしていたのを思いだします。確認すると夫妻は帰国したばかりで日本を出たのは入江が殺害されるよりも前だったので3つの事件とは無関係ということになります。
全員がホテル・コルテシアに宿泊しているのは偶然とは思えず新田と梓は小林夫妻から別々に話を聞こうと思います。
小林はブログに共感し連絡するとダークウェブが使用された「ファントムの会」に誘われました。
時間が経つと抹消されるSNSで皆が事件の詳細を明かしており加害者はいまどこで何をしているのか情報が次々と舞い込んでいました。息子が殺された事件を打ち明けると現在の長谷部奈央の情報が入ってきたが当時の地味だった姿はなく派手に暮らしているようだったので驚きました。
そんな時、入江が殺され3つの事件が起こりファントムの会では皆が驚いていました。長谷部奈央がアメリカに行く前にホテル・コルテシアに宿泊するという情報が入り犯人が目を付けるのではないかと疑い小林夫妻は宿泊していました。
結末/マスカレード・ゲーム
新田は奈央のSNSをチェックすると沢崎弓江だったので驚きます。小林は娘を殺された緒方道代と出会いファントムの会に誘ったが先ほどラウンジで見掛けたと言います。
緒方道代がチェックインするときの映像を確認すると佐山を調べてくれと頼んできた葉月だと分かりターゲットは奈央の方だったのだと気付きます。
すぐに彼女の部屋を訪ね追及すると葉月は奈央と施設で共同生活をしており罪の意識に苛まれ遺族はどう思っているのか悩んでいたので偽名を使って調べたのだと言われます。偽名で教えたメールアドレスを奈央に教えたと知りファントムの会に参加していたのだと気付きます。
奈央に誘われた佐山も同じ施設の者であり奈央の様子がいつもと違うので葉月は心配でホテルにやってきていたのです。
奈央はファントムの会で参加するうちに自分がメンバーに代わって復讐するのが役目だと思うようになり最後はホテルで命を絶とうとしていたのです。
駆け付けた新田は願いを叶えさせてやろうと梓が立ち塞がるがドアを開けて入って行った尚美の悲鳴が聞こえ突入します。奈央がナイフを握りしめ自害しようとしていたので新田は生きて償わなければならないと説得しナイフを取り上げました。
新田は民間人を傷付け違法捜査までしたことの責任を被り辞表を提出するとホテルから警備部マネージャーとしてスカウトされました。
感想/マスカレード・ゲーム
一気読みしたので見落とした可能性はありますが交換殺人を疑うならほかの事件の時のアリバイも調べないとおかしくないかな。良美にしても前島にしても遺族となってしまった直の事件のアリバイしか立証されてませんよね。
そして仲間がいると疑い再び潜入捜査が開始されたわけだが従業員と警察側の者も普通は調べますよね。だって場所がホテルなんですから。
やはりマスカレードホテルとマスカレードナイトを読んでいたので「あれ、読んだ気がする」と何度か錯覚してしまった、笑。個人的な意見だがマスカレードシリーズを読んでいない人の方が楽しめた気がする。
梓もね・・・違法捜査をしているわけだし父親の期待に応えたくて真実を求め暴走するのは理解できますがいちいちカチンとくるような言葉をチョイスするので感情移入はできなかったかな。
そして結末を読むまで奈央は自害するのが目的ではなく、わざと反省していないようにSNSでアピールしホテルで誰かに始末してもらうのが目的かと思った。だからスイートルームにいた他の者が犯人かと思ったよ。
奈央が犯人で自害しようとしているなど推理はできなかったな、それに結局小林夫妻から話を聞くのであれば最初から三人に聞けばよかったのではないかなと思ってしまうw
正直、新田が責任を取って辞職するのはちょっとかっこつけすぎだし上の者は何なのと思ってしまう。これはマスカレードシリーズを終わらせるためと予想。