作品情報・キャスト
横山秀夫のベストセラーを原田眞人監督が映画化。
1985年、524人を乗せた日本航空123便が群馬県の山中に墜落した一報が届き、当時携帯電話もない時代に地元紙北関東新聞の記者たちはどうやって特ダネをものにしたのか。
ネタバレあらすじ/クライマーズ・ハイ
1985年8月12日。
群馬県、北関東新聞社の遊軍記者・悠木和雅は社内登山サークル「登ろう会」に属しており販売部の安西と谷川岳衝立登攀へ挑戦する予定でした。
帰宅しようとしていたところ信頼を寄せる社会部の佐山記者から「ジャンボが消えた」と知らされます。
乗員乗客524人を乗せた東京発大阪行きの日航123便ジャンボ機が行方不明となり群馬、長野の県境に墜落したもようだと速報が流れました。
社長に呼ばれた悠木は日航全権デスクを命じられ群馬の新聞らしく思いっきりやれと言われます。
冬の大事件、大久保連赤を取材した世代が上にいるため「記者は氷点下の山中を駆け回り何キロも先の電話を目指すんだ」と時代遅れな事を言い無線機1つありません。
墜落現場が御巣鷹山だと分かり悠木は佐山と地域報道班の神沢を派遣させるが安西がクモ膜下出血で倒れ病院に運ばれたと知ります。
佐山と神沢が泥だらけになりながら必死に取材を続けるが、等々力部長が輪転機の調子が悪く締め切りが延ばせない事を黙っていたので雑観を届けても朝刊に載ることはありませんでした。
「市民体育館で遺族と遺体の対面」
「奇跡的な生存者の証言」
「事故原因を探るため地域報道班の玉置を事故調に張り付けさせる」
「佐山の現場雑観を初回に、一面10回シリーズをするため御巣鷹山に10人登らせる」
戻ってきた佐山の新たに書いてもらった現場雑観は記者たちの心を掴むが神沢は悲惨な現場を見て精神的にやられていました。
悠木は安西が運ばれた病院に行くと植物状態だと聞かされます。
ここ1ヶ月寝ていない事を知った悠木は安西の手帳を見て社長の元秘書に会いに行きます。
社長をセクハラで訴えようとしている元秘書を金で黙らせろと伊藤局長に命じられ安西は走り回っていたのです。
佐山の現場雑観を一面トップに指定したのに二社面になっており等々力部長の仕業だと思った悠木は「大久保連赤の時代は終わったんだ。僻み根性もたいがいにしろ」と言い放ちます。
しかし差し替えたのは自衛隊ネタを好まない追村次長でした。社長に頼みに行くと墜落してからまだ4日しか経っていないのにトップは総理の公式参拝でいけと言われます。
どっちをトップにするか議論されるが落ち込む悠木は「どっちでもいいですよ」と答えました。
しかし、事故調に派遣した玉置から電話があり圧力隔壁(機体後部にあるお椀型の壁で機内の気圧を一定に保つ)の隔壁が与圧に耐えかねて破れ尾翼を吹き飛ばした可能性があると言われます。
まだ教授の推論段階であり裏取りは経験者にやらせないと全国紙に気付かれるため1人送るから待てと命じます。
また真実を知りたがっている遺族を見て地元である日航をトップにするべきだと訴えました。
現場に派遣され精神的に病んでいた神沢が車に轢かれて亡くなります。
ポケットの中には御巣鷹山で見つけたスペードのエースが入っていました。スペードのエース(最後の切り札)を目にした悠木は玉置が引っ張ってきたネタの裏取りを佐山に任せます。
社に戻った悠木は遺族の待機所に新聞を無料で配るべきだと提案すると意見が一致します。
佐山がスタンバイし玉置が近くの民家から電話を借りて進展を伝えるため行き来します。
悠木は大スクープになる可能性があるため締め切りをのばし二版制を組んで第一版は豊大二高圧勝を発送することを等々力部長に伝えます。
ウラが取れた時点で輪転機を止め差し替えれば時間によっては全域に配れないが遺族待機所に届けば良いと訴えます。
等々力部長は承諾し悠木は販売部と全面戦争になる覚悟でトラックを止めるため鍵を盗みます。
結末
佐山からギリギリで連絡が届きます。
北関東新聞社始まって以来の大スクープだから打てと皆に言われるが悠木は100%ではないと判断しました。
しかし翌日、事故原因は圧力隔壁だと毎日が載せ事故調が隔壁を口外し運輸省が記事を肯定しました。
社長がやってきて「恥の上塗りだ、編集や記者だと思い上がるな」と怒ります。
皆が黙るなか悠木は全権を任された自分の責任だと言い辞表を提出します。
(このあと佐山が現場で見つかった遺書をまとめトップで使ってくださいと持ってきます。悠木は受け取ったので会社に戻ったのかもしれません。)
2007年、初夏、
群馬県土合駅に降り486段上がります。
悠木は安西の息子・隣太郎と谷川岳衝立登攀へ挑戦します。
ハングを超えられそうにないと諦めかけるが新しい銀色のハーケンを見つけます。それはしばらく会っていない息子が1ヶ月前に父親はもう年だからと助けるために打ったハーケンでした。
新聞のことばかりで家族をバラバラにさせてしまった自分なんかとは会いたくないだろうと思い疎遠だったが隣太郎から「一度でも会いに行く努力をしましたか。彼は待ってます」と言われます。
海外で暮らす息子を訪ねて行くところで映画は終わります。