作品情報・キャスト
女子高生ミンジュが7人に命を奪われる。犯人の7人は謎の7人組に1人ずつ誘拐されて拷問を受け自白を強要される。
第69回ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞に輝く。
監督 = キム・ギドク◆集団リーダー(マ・ドンソク)◆集団メンバー(イ・イギョン)◆容疑者①オ・ヒョン(キム・ヨンミン)◆その他キャスト(チョ・ドンイン)、(テ・オ)、(アン・ジヘ)、(チョ・ジェリョン)、(キム・ジュンギ)
ネタバレあらすじ/殺されたミンジュ
5月9日夜、帰宅途中の高校生ミンジュが男たちに追われテープで顔をグルグル巻きにされ殺害されるが報道される事はありませんでした。
1年後、容疑者①オ・ヒョンは恋人とレストランで食事をしている時にワインを溢しそうなった店員に偉そうに苦情を言い放ちます。
恋人を家に送り届け車の中でタバコを吸っていると自衛隊の服装した2人に話し掛けられます。ドアを開けると容赦なく殴られ頭に袋を被らされ拉致されます。
謎の集団のリーダーから「去年の5月9日何をしたか全部書け」と紙とペンを出されます。断るオ・ヒョンだが容赦なく拷問を受け耐えられなくなり自白し手形を押されます。
「命令に従い言われた通りしただけ、指示した人が悪い」
リーダーは「お前も出世したら指示するはずだ、今日の事は秘密だ、口にしたら殺す」と脅しオ・ヒョンを解放しました。
事件に関わった者が次々と・・・
謎の集団は変装を繰り返しながら容疑者②と容疑者③を拉致して拷問し自白させ解放します。
容疑者②はもともと女子高生の命を奪ったことを申し訳ないと反省しながら生きており妻と子に別れを告げ車の中で頭を銃で撃ち抜きました。
オ・ヒョンは去年の事件に関わった者が次々と拉致されている事に気付き謎の集団はどんな組織なのか監視して調べます。
店員に見下され注文したチーズに唾を吐く者。
男に生活を支えてもらっているが暴力に悩む者。
兄の金で留学したが就職できない者。
自動車部品を勝手に売りさばく自動車修理工。
詐欺で全財産を失った者。
闇金から借金がある者。
組織ではない
容疑者④が拉致される時にオ・ヒョンは後をつけ潜伏場所を突き止めていました。
オ・ヒョンは容疑者③に会いに行き謎の集団はただの落ちこぼれの集団だった事を伝え通報するべきだと訴えるが自白して紙に書いたため断られます。それだけでなく容疑者③は仕方なく指示に従ったが良心が痛んで自殺した容疑者②のことを思い自分が悪い事をしたのだから仕方ないと思うようになっていました。
容疑者⑤は実行部隊の責任者で、これまで拉致した者と違って「俺に知らない組織はない」と強気な姿勢を見せます。
しかし電気拷問に耐えられず最終的には自白する事になりました。
容疑者⑥は国に尽くしてきた軍人であり拳銃は偽物で情報院はこんなボロ屋ではないと言いました。また組織になっていないと見抜かれリーダーを捕まえ自分を解放したら罪には問わないと訴え出します。
惑わされそうなメンバーもいたので本物の銃をただ1人持つリーダーは容疑者⑥を撃ち殺しました。
それにより死体を土に埋めたメンバーは抜けていく者が増え残ったのはリーダー含め4人だけとなりました。
最後の容疑者⑦は全部を計画したボスであり拉致して拷問に掛けます。
リーダーはミンジュの死体とミンジュと一緒に映る自分の写真を見せ「どうして殺した?」と聞きます。
若い連中が勝手にやった事だと言い訳したので更に厳しく拷問にかけます。するとメンバーの2人から「謝ってるから殺すのは止めよう」と止められます。
結末/殺されたミンジュ
メンバーの2人はやっている事は相手と変わらないと思いリーダーに手錠をかけて動けないようにします。
リーダーは社会への不満を意図的にネットに書き込みコメントしてきた者を集め謎の集団を作り出したのです。
容疑者への制裁はメンバーにとっては日頃の鬱憤を晴らすためと社会に対する復讐だったのです。
リーダーだけは本物の銃を所持し娘を殺された復讐心で動いていたため容赦なく拷問出来たのです。
リーダーは今になって気付きます。
「人間は哀れで悲しく生きるのが苦しい。水槽にドジョウだけだと短命だがライギョを入れると逃げ回るから健康で長生きする。あいつは脅威でもあり生かしてもくれるライギョなんだ」
メンバー2人は容疑者⑦を救えばチャンスがあるかもしれないと密談するが見張り役のメンバーが裏切った2人を鉄パイプで殴りつけます。
リーダーの手錠を外し容疑者⑦を殺害しようとするがリーダーに止められ「家族が待っているから帰れ、もう終わった」と言われます。
「生きるのは地獄。お前の子も金と名誉で楽に生きさせてやれ、俺の与える天罰だ」
リーダーはその場を後にします。
侵入して隠れていたオ・ヒョンが姿を現わすと容疑者⑦は「この能無し野郎、仕事の処理がまずいからこんな目に遭った」と怒鳴ります。
オ・ヒョンはリーダーが置いていった写真を見せ「なんでこんな事したんだ」とたずねると「理由なんかない、生きるためだ、上の命令は絶対だ」と言いました。
オ・ヒョンはそのまま拷問を加えミンジュを殺害したように顔にテープをぐるぐる巻きにして殺しました。
オ・ヒョンは山で密かに暮らし泣きながら座禅を組むリーダーを釘が刺さった棒で撲殺しました。終
ミンジュとは韓国語で「民主主義」の意味。
民主主義が圧迫されつつある韓国だが弱者に厳しいのはどこの国にも当て嵌まるかもしれない。