あなたが誰かを殺した/作品概要
「悪意」「赤い指」「新参者」など東圭吾原作の加賀恭一郎シリーズ!!
原作・東野圭吾
あらすじ
閑静な別荘地で起きた連続殺人事件、
1人は助かったものの5人が殺害され死刑になりたかったのが動機だと桧川が自首するが詳細については口を閉ざす。
納得がいかない遺族たちは真相を明らかにするために検証会を開催し、そこに刑事・加賀恭一郎が後輩を助けてほしいと頼まれて姿を現し進行役を務める。
死刑になりたかったと供述してる割には防犯カメラを無効化にしていたりと矛盾だらけ、加賀恭一郎は無差別殺人ではないことを明らかにしていく
ネタバレ解説/あなたが誰かを殺した
文字通りネタバレになりますのでご注意ください。
これから読む方はいきなり15人(別荘族の関係者)出てくるのでメモを取ったり別荘地の地図を頭に入れた方が分かりやすいと思います。
また、読み終えて思ったのは映像化するとかなり分かりやすいと思うので映画化されるかもしれませんね。
それではネタバレ解説していきます。
別荘族
栗原家
美容院を経営する由美子と公認会計士の正則、中学生の一人娘・朋香
櫻木家
総合病院を経営する洋一と妻・千鶴、事務局で働く娘・理恵と彼女の婚約者で内科医の的場雅也
山之内家
バーベキューの場所を提供する本宅、静枝が夫と死別して40代と若くして一人暮らし、姪御の看護師・鷲尾春那と薬剤師の夫・英輔が手伝いに来ている。
飯倉家
夫婦で高齢施設に入るためにグリーンゲーブルス(別荘)を売りに出し管理を山之内静枝に任せている
高塚家
大企業の会長・俊策とやり手の妻・桂子、会長の部下・小坂均が妻・七海と息子・海斗を連れて遊びに来ている。
X(旧Twitter)東野圭吾公式@higashinokeigo_
刺傷事件の遺族による検証会
15人でのバーベキューパーティーを終えた夜、それぞれ別荘に戻るが栗原由美子、栗原正則、鷲尾英輔、櫻木洋一、高塚桂子の5人が殺害され的場雅也は刺されたものの命を取り留める。
死刑になりたい願望と自分を蔑ろにした家族への復讐が動機だとして桧川大志が自首するが詳細については口を閉ざす。
それぞれ49日を終えた頃、高塚俊策の提案で遺族たちで検証会が行われることになり同行者が認められたので「あなたが誰かを殺した」と書簡を受け取っていた鷲尾春那は看護師の先輩・金森登紀子に相談し警視庁捜査課の加賀恭一郎を紹介してもらいます。
両親を殺害された栗原朋香は生活している寄宿舎の指導員・久納真穂を同席させ、高塚会長は地元警察の課長・榊を連れてきました。
現場にいなかった人に進行役を任せるべきと提案され、加賀恭一郎が引き受けることになります。
加賀恭一郎の疑問
①栗原夫婦・櫻木洋一・的場雅也・高塚桂子・鷲尾英輔
②栗原夫婦・櫻木洋一・的場雅也・鷲尾英輔・高塚桂子
③高塚桂子・栗原夫婦・櫻木洋一・的場雅也・鷲尾英輔
④栗原夫婦・高塚桂子・櫻木洋一・的場雅也・鷲尾英輔
加賀恭一郎は桧川は死刑になるために誰でもよかったと供述しているが栗原家と高塚家の防犯カメラを無効化にしているし何でグリーンゲーブルズは留守だと分かっていたのか疑問を抱きます。
①桧川はなぜ別荘地を犯行現場に選んだのか?
②栗原夫婦が車庫にいることをどうやって知ったのか?
③高塚桂子が一人だと何で分かったか?
④死刑を望んでいるのに何でカメラを無効化にしたのか?
⑤刺傷に用いたナイフはどこへ消えたのか?
⑥事件と関係があるか分からないが高塚桂子が握りしめていた紙片は何なのか?
加賀恭一郎は桧川大志を唆した者が共犯者であると考えればすべての疑問が解けると推理します。
久納真穂は何者?
「あなたが誰かを殺した」と書簡が送られてきたのは春那だけでなく関係者全員に送られていました。加賀恭一郎は最初から久納真穂は指導員ではないと疑っていたが榊刑事は検証会に参加する全員の身元を調べており朋香の付き添いで来た久納真穂は指導員ではないと指摘します。
久納真穂は両親が離婚するのでいずれ本名になるが現在の本名は桧川真穂で自首した桧川大志の妹だと白状します。兄ならやりかねない事であり事件のあと生活はめちゃくちゃになったのでこの手で殺したいほどだと言います。
何で別荘地で犯行に及んだのかが分からず事件関係者から話を聞きたいと思い正直に素性を明かし朋香に手紙を送ると検証会があると知らされ同席させてもらいました。
殺すべき相手がいたのではないかと考え調べるうちに被害者は殺されても当然といわれている者が何人かいたので唆されたのではないかと仮説を立て「あなたが誰かを殺した」の書簡を全員に送っていたのです。
結末/感想
ここから、結末です。知りたくない方はご注意ください。
犯人は誰なのか?本当に共犯者などいるのか?
自首した桧川大志だけの犯行なのか?
共犯者は?
おどろく事に桧川大志とネットで知り合った中学生の栗原朋香が共犯。これは読んでいて誰もが予想できなかったと思われる。
栗原家の別荘の車庫には床下収納庫があって金の延べ板がたくさん隠されている。正則は会計事務所の顧客だった資産家の男性が亡くなり資産をだまし取ってその未亡人と恋仲になっており由美子も男がいて仮面夫婦だったのです。
離婚することを打ち明けられていたがどっちも自分を引き取るのを拒んでいるのが分かり、生活している寄宿舎から戻ると愛猫が亡くなっていました。すべてほったらかしだった事が分かり両親への殺意を抱いた時に「人を殺して死刑になりたい。殺した相手にとっては英雄になれるかも」と書き込んでいた桧川大志とネット上で繋がったのです。
なるべく多くの被害者を出し二人の犯行を明かさなければ犯罪史に名も刻めると言われ老女なら殺せると思い高塚桂子を選びました。
事件当日、朋香は防犯カメラのSDカードを抜き取り、バーベキューに行くときに合鍵を使って玄関のカギを外し、誕生日プレゼントを渡したいから別荘の外で待っていると手紙を桂子に渡しました。
家族で別荘に戻ると両親が予想通り車庫に向かったので潜んでいる桧川にテレグラムで連絡しました。車庫を見ないで出て行き高塚家別荘の近くに行くと手招きされ計算外だったが偶然にも誰もいないと言われ従います。
そして何回もナイフで突き刺すと呼び出した手紙を奪い取り防犯カメラを無効化して帰るが途中でいきなり男性(的場雅也)が現れて驚き、振り向く前に刺して逃げました。
「ふたり刺した」と連絡すると「5人殺害、1人未遂、協力に感謝」と返事がありました。
罪を犯した者は他にもいる
20年前、小児科医だった雅也の父親は病状を十分に把握されないまま開頭手術を行い命を落としました。母親は損害賠償を求めたが病院側の改竄だらけの代物により敗訴し、雅也は復讐するために内科医となりました。
櫻木病院を乗っ取るつもりだったが偶然にも理恵と交際することになり櫻木家のすべてを掌握できると思いました。理恵の悲鳴を聞いて出て行くと洋一が刺されており内科医として手当すれば助かると分かっていたが見捨て、何もしないとおかしいので犯人を捜す目的で外に出て行ったものの刺されてしまったのです。
加賀恭一郎は朋香が二人刺したと連絡しただけなのに桧川が「一人未遂」と判断できたことを不審に思いました。また桧川大志は10本のナイフを購入して5本は家にあり、栗原夫婦を殺して持っていたナイフ、洋一と鷲尾英輔の体に刺さっていたナイフ、朋香が使ったナイフを数えても一本足りません。
加賀恭一郎は山之内家静枝が男を誘って逢引しているという証言があった事からグリーンゲーブルズに行ってみるとドアノブに血痕がありました。ここで倒れるわけにもいかず必死に山之内家別訴に戻って倒れたのだと推測し二人の関係を知っていて好機が訪れたならばと考えると犯人は妻の春那しかいませんでした。
本人に追及すると二人の関係を疑っており密会するのも目撃していました。倒れている夫を見つけた時には脇腹にナイフが刺さっていたが急所は外れているから問題ないと言われ犯人から奪い取ったハンカチで巻かれたナイフを渡されました。そのナイフを心臓に突き刺し脇腹に刺さっていたナイフを抜き取って隠したのです。
感想