作品情報
ネタバレあらすじ/運転者
完全歩合制の生命保険会社に転職した営業マンの岡田修一は最初の1年は保険料の一定割合が給料になるので良かったが2年目からはほぼないに等しいので精神的に追い詰められていました。
新規契約をとった20人がいっぺんに解約したり計画していたパリ旅行の代金を支払ったのか妻の裕子から電話があったりします。半年前には父親を亡くし仕事が忙しかったので母親ともゆっくり話すら出来ず、1人となった母親から電話があると「この先、母親の面倒もみなくちゃいけないのに・・」と更に追い詰められてしまいます。
「なんで俺には運がないんだ、なんで俺ばっかりこんな目に遭うんだ」
タクシーが近付いてきたので思わず手を上げて乗り込んだが「あれ、何処行くんだっけ」と思い出せません。
娘さんの学校に行った方がいいのでは?
「そうだそうだ、妻に一緒に話を聞いてと頼まれてたんだ」と思いだし修一はお願いするが「えっ」と驚きます。何で娘を知っているんだ、名前まで言い当てられ驚く修一はプレートをみると「御任瀬卓志=おまかせタクシー」となっていました。
「私はあなたの運転手、人生を変えるのが仕事です。運を転ずるのが仕事です」
娘の学校に着くとメーターが高い金額を示していたが「代金入りません。数字が0になるまで乗り放題です」と走り去りました。
最近、確かに娘は不登校になりがち、しかし親を呼び出しといて担任からは大した話も何もないので不機嫌となります。次から20人分の保険料が給料から引かれるし暇などないのだ。
「忙しくてこんな暇ないんだ」と妻に当たってしまうが何を頑張ればいいのか分からない自分に気付きます。
どうして居場所がわかるんだ!!またあのタクシーが近付いてきた。
「あなたの運が良くなる場所に連れて行っているのにイライラしたらダメですよ・せっかくのチャンスを逃しましたね」
相手は先生だ。保険の話をしていれば入ろうかと思うかもしれない。そして先生は転勤が付きもの、関係性を良くしていれば評判が広がっていくでしょ。
ポイントカードと一緒で、「いい・わるい」「ある・ない」ではなく運は貯めて使うものなんです。努力をして結果が出ない場合は貯めているだけで後に報われるんです。
修一は「上機嫌」を意識して勝手に降ろされた場所の近くのカフェに立ち寄るが誰に話しかけていいか分かりません。上司からすぐに帰ってこいと電話があり急ぐがかなり遠く、また急な雨だったので到着した時にはびしょ濡れでした。
上司はそんな姿を見て「俺が行く」と出て行き、修一は外回りに出るとタクシーが近寄ってきたので「ふざけんな、おまえのせいでめちゃくちゃだ」と怒りをぶつけます。
カフェにいた客は作家さんですよ。もしかしたら仕事を教えて貰い作家となって大成功したかも知れない。
人生にはいろんなチャンスが転がっているのに逃しましたね。
今目の前にいる人はそれぞれの人生を歩み、二度と会えないかも知れない。上機嫌でチャンスを逃さないと思っていればその人は知り合いとなり友人となるかもしれない。そしてあなたの人生を大きく変えることができるかもしれない。
何がプラスで何がマイナスかなんてその場で分かりません。大切な経験にしていくことが生きるということ
雅史は戦後復興の波に乗り店は繁盛していたが修一を東京の大学に行かせると急激変わり商店街はシャッターが目立って活気がなくなり客はほとんどいなくなりました。
「なんて運がないんだ、もうダメか」朝早く出発し山で命を絶とうとしていたところタクシーがやってきました。
乗るつもりはなかったが今日はいいやと思い乗り込むと勝手に蕎麦屋に連れて行かれ「今日は戦死したあなたのお父様の命日です」と言われました。
サイパン島で亡くなった父親は美味しい蕎麦屋の話をされた時に「生まれたばかりの息子が食べてくれるからいい」と言ったそうです。自分が一歳の時に父親が亡くなり母親が再婚した父親に育てられたので何も知りませんでした。
自分ではない人間が貯めていた運を今までは使わせてもらっていたのか
修一は亡くなった父親が残りのポイントを息子に譲るよう頼んだからタクシーが現われたのだと知ります。祖父が命を使って貯めてくれた運が父親を通して自分に回ってきたと。
「プラス思考で上機嫌」これから起こった事に対してプラスに考える
次の世代のために貯めていく運の方を多くする生き方をすることがプラス思考だと思った修一は最後の目的地の居場所を察して残りのメーターを次の世代に使ってくれと伝えました。
実家に帰った修一は父親が「日本一の蕎麦屋」を目指して15年も頑張っていた事を知り自分でも驚いたが蕎麦職人になりたいと思い父親が持っていた蕎麦道具を持って帰ります。
そして帰りの新幹線で隣に座る人から一件の契約を取れそうだったので名刺を受け取りました。帰宅して今まで言えなかった事、これからはかなり生活が厳しくなると告げると何か言われると閣議していたが妻は普通に受け入れました。
「自分には合っていないから仕事を辞める。そして修行をしてお前がこれなら大丈夫だと思ったら店を出す。それまで修行して夜勤で稼げる仕事を探すよ」
結末と感想/運転者
まぁ~最後は出来過ぎのようにポンポン進んでいった。社長も運転者にお世話になっていて先祖が同じサイパン島で亡くなっていた。話の流れから社長も気付いたようですね。
帰りの新幹線の中で説明がうまかった事から修一は公演の依頼を受け、生き方と価値観が変り業績が上がり続けたらしいのですぐに辞職はしなかったのだろうか、運転者の話によると何十年後に夫婦で蕎麦屋をオープンしたそうです。
妻から何も言われなかったのは運転者から「未来」を聞いていて自分の事とピタリと当てはまったからですね(笑)
なんとも不思議な感覚、前半は啓発本で後半はファンタジーものみたいな感じでした。
私がこの本を読んで思ったのは「邪魔する人」、「人のやる気をなくす事しか言えない人」などが周囲にいたらまずは環境を変えないと始まらないと思いました。
そして環境を整え諦めていたことを挑戦してみようと思いました。もし開花したら感謝です。