作品情報・キャスト
朝鮮王朝14代王・宣祖は豊臣秀吉の軍勢が迫ってくると次男の光海君を世子(王位継承者)に指名し民を捨ててさっさと避難をはじめた。
民を捨て、さっさと逃げてしまった国王から国の命運を押し付けられた光海君は父王の行動、そして兄である臨海君が継ぐと思っていたので戸惑いながらも代立軍と立ち向かう事に・・・。
代立軍とは貧しい農民が金と引き換えに軍役を肩代わりした兵の事で1592年に天下人の秀吉が朝鮮半島に迫った事で日本でも有名な出来事ですね。
1592年・攻め込んだ日本では「文禄・慶弔の役」、朝鮮側では「壬辰・丁酉倭乱」とよぶこの出来事は豊臣秀吉のご逝去をもって日本軍の撤退で終結するが16世紀における世界最大規模の争いとなった。
ネタバレあらすじ/代立軍 ウォリアーズ・オブ・ドーン
1592年、平安道国境で代立軍(金と引き換えに軍役を肩代わりする貧しい民)は女真族と戦っていました。
女真族は実力で成り上がれるので代立軍にいた者もいました。
将軍たちは見物しているだけで宴会を始めるので代立軍は不満を抱えているが金を稼ぐ道がこれしかないため生きるために必死で身代わりを務めます。
そんな時、天下人となった豊臣秀吉の20万の軍勢が朝鮮半島に侵攻してきました。朝鮮王朝14代王・宣祖は都を捨て寧辺にさっさと逃げてしまいます。
「民を捨てるなんて・・・せめて倭と戦う姿勢を示すべきだ」
重臣たちから反対される宣祖は明に行き援軍を要請するには誰かが国に残らなければ思い次男の光海君を世子に指名する事を決定します。
国の命運を押し付けられた光海君
戦った事もない光海君(後の15代王)は兄の臨海君を差し置いて世子に任命され、国の命運がかかる重責を押し付けられ戸惑います。
「民を捨てる王がどこにいるんだ」と民の罵声を受けながらも宣祖は明に向かい、二匹の龍が描かれた旗を持つ軍勢を率いて光海君は将軍がいる江界に向かいます。
こんな悲劇は初めてだと家族を避難させたトウは世子の護衛を命じられ生業としているが奴婢じゃないため責務の1ヶ月を過ぎたら家族の元に帰ると言い放ちます。
その頃、民を捨てて逃げた王を見損ない頭にきた役人は長男の臨海君を倭の将軍に差し出し戦を止めて欲しいと願い出るが受け入れられませんでした。
野営をしていた軍勢に火矢が飛んでくるが倭国なのか山賊の仕業なのか正体が分かりませんでした。
「世子様をお守りしろ」の声が響き渡りトウは守りながら安全な場所まで護衛するが大事な書物を失ったと殴られてしまいます。
書物は作り直せるが命は1つしかない、なにを言っているのかと代立軍は思うが事態が収まると怖くて逃亡した者もいて味方の半数が失ったことに気付きます。
険しい山道を通り輿を担ぐことになった代立軍は倭国の前に力尽きそうだと愚痴を言い始め倭国や女真族に寝返った方がいいのではないかと口にする者も現われます。
戦乱がなければ世子に任命されることもなかったと思う光海君は法に反する代立に護衛されてまで江界に行く意味があるのかと不安がよぎります。
山賊の襲撃に遭い散らばって逃げ出したため光海君は孤立してしまうがトウに助けられます。人を斬った事がない光海君はトウが危ない目に遭っても刀を持って震えているだけでした。
「恐れを知らずして勇気は持てません。敵を背にしろと書物に書いたのですか」
光海君は「怖いものはないのか」と聞くとトウは仲間が消える事だと言いました。
親子関係
トウは見張り役を密かに雇っており次々と狙われるのは裏切り者がいるからだと突き止めました。
捕らえられた裏切り者は「自身も庶子であった王様が同じく庶子である光海君様を王にするわけないでしょう」と口にします。拷問を受け悲鳴を出しながら白状すると口にした裏切り者を光海君は何も聞きたくないと斬ってしまいます。
信城君(宣祖の側室・仁嬪の子)を王に据えたい者の仕業かと思ったが王様の指示ではないかと恐れたのです。母親の恭嬪は自分を生んですぐに亡くなったので親不孝を挽回したくて父親を大切にしてきたが自分自身と重ね合わせていたから愛を与えてくれなかったのだと思うのです。
代立のコクスは仲間を失い王に捨てられた世子をお守りする意味などないと剣を突き付けると王の代わりとして戦乱に捨てられる飾り物だと思う光海君は「そうせよ」と口にしました。
しかし「ひたすら歩き続けるしか道はない、倭国に寝返っても消されるだけだ」とトウは止めます。
多くの犠牲者を目にしながら歩みを進める光海君は避難者から命綱である食料を側近が奪おうとしていたので「民から奪った食糧で空腹を満たすな」と命じます。
最終的に貴重な食糧を分けて貰った光海君はコクスの歌を聴きながら舞を披露しました。
代立と兵士との関係もよくなるが倭国の襲撃により多くの仲間を失います。トウは「交龍の旗は朝鮮の王だという印だ。命だけで世子様を守れ」と遺言を授かり旗を受け取って敵を引きつけました。
やっとの思いで江界に到着したが焼き討ちに遭っており「王様は義州へ逃げた。すぐに捕まえに行くべし」と書かれていました。
王様のあとを追って避難していた代立軍の家族たちは追っ手を防ぐために船を燃やされたので筏を使うが転覆してしまいそこにはトウの母親も乗っていました。
王様に飛脚を送りすぐに逃げるべきだと進言される光海君だが「義兵を募るなら江界で待ちシン将軍と会わなければならない、それが王命だ。責務を全うした代立軍を帰してやれ」と告げます。
しかし、王様から書状が届くが「明の援軍を得たから将軍と兵士を支えすぐに戻れ」しか書かれていませんでした。また村に戻ったはずのトウが引き返して来て倭の軍勢が向かってきていると知らされます。
光海君は江界の民を捨てる事はできないと避難場所まで案内するが一番近くで世話をしてくれていた女官が鉄砲にやられ命を落としてしまいます。
「世子様が残って戦うと言えば王様の機嫌を損ねるだけ。王様に突き放されたら世継ぎの話は水の泡になる」
父子の情など戦乱の世ではくだらない私情に過ぎず王様に利用された光海君は世継ぎなどお断りだと言い放ちます。
結末
要塞である避難場所で交龍の旗を掲げると「戦うつもりか、父親よりはましだな」と倭国将軍は言い戦の準備に入ります。
陣を構えて迎え撃ち光海君も共に戦うが戦国時代を生き抜いてきた軍勢の攻撃はすさまじいものがありました。
倭国に捕らわれていたコクスは「世子を引き渡せば倭軍はすぐに去る。王の息子として責任を取るべきだ」と叫びます。
脅える民を見て光海君は父親のようにはなりたくないと出て行こうとするが「敵は民を生かそうとしない、恐怖に打ち勝つのです」とトウは止めに入ります。
そこに世子様が戦っていると噂を聞いた義兵が集まったと知らせが入り共に再会を誓い合って夜中に門を突破して襲撃をかけます。それに合わせ義兵や捕らわれていたコクスも戦います。
光海君は生き残った民たちと渡り船に乗るがコクスがやられたのを目にしたトウ達は「どうか達者で」と言い残し戦いに向かいました。
代立軍は最後まで立ち向かうが鉄砲にやられ命を落としてしまいました。
シン将軍の陣と合流した光海君は必ず民を守る王になってみせると己に誓いました。
光海君の呼びかけに応じ集まった義兵の働きは国の再建に大きく貢献しました。
感想
有名な出来事ではあるが王の身代わりとなった光海君と軍役の身代わりとなった代立軍のトウとの関係性がメインのドラマ映画でしたね。
戦については全くと言って良いほど詳しくは描かれていない。
そして倭軍武将の日本語が聞き取れないので字幕が欲しかったのが正直なところ。この出来事を描くならせめて豊臣秀吉は何の目的で責めたのか、どのようにして戦が終結したのかまで描いて欲しかった。