作品情報・キャスト
監督(マチュー・デラポルト)
脚本(マチュー・デラポルト) (アレクサンドル・ド・ラ・パトリエール)
孤独で真面目なセバスチャンは自分が気に入った男性に特殊メイクで成りすます事で孤独感から解放されていました。
ある日、家を探す手伝いをしていたセバスチャンはバイオリニストのアンリになりすますが彼には別れた妻子がいて・・・
ネタバレあらすじ/フェイク・ライフ – 顔のない男 –
現在、不動産会社で働く独身のカトリック教信者セバスチャンは42年間ただ生きているだけで孤独感に苦しんでいました。
特殊メイクで他人になりすます事に生き甲斐を感じるのは孤独感を誤魔化すため、そして変わりたい願望があるからです。
物件を紹介したシャルルを尾行し始め、趣味や家族構成などを把握したあと顔の型や髪の毛を作り始めます。
そして家に侵入し特殊メイクをしてシャルルになりきり話し方も真似します。
そうやって今まで他人になりすまして生きてきたが知らない人から話しかけられるリスクもありその時には無我夢中で逃げ出します。
特殊メイク
変われる事が生き甲斐のセバスチャンだが自分の行為はいけない事であり自己嫌悪に陥る時もあります。
ある日、トラヴェンが提出した守秘義務の契約書にセバスチャンは署名します。
「依頼主の情報を漏らさない」
「署名したことも口外しない」
依頼主は著名なバイオリニストで広い部屋を好み上層階で静寂であるのが条件でした。
著名バイオリニストのアンリと対面したセバスチャンは彼の今までの功績を勉強し映像を手に入れ話し方やタバコの吸い方を真似しモーツァルト信者になります。
アンリは世界中を回る有名人だったが車が炎上する事故に遭い大火傷して指二本失ってからはカーテンを閉め窓を開けずに生活し外に出る時は愛犬を散歩させる時ぐらいでした。
セバスチャンはアンリに紹介した部件の向かいに住み散歩で家を留守にするのを待ちます。
そしていつものように特殊メイクでアンリに成ります。しかし思ったより早く帰ってきてしまい物置に隠れるとアンリは訪ねてきたクレマンスを怒鳴って追い出していました。
隙を見てセバスチャンは出て行くとクレマンスに話し掛けられます。クレマンスはアンリの元妻でした。クレマンスは血液の病気だと言われこのままでは息子ヴァンサンが1人になってしまうと気にしていました。
代理父親
ヴァンサンが音楽学校でバイオリンを弾いている事を知ったセバスチャンは様子を見に行きます。そして特殊メイクでアンリと成りクレマンスの家を訪ねセバスチャンと話します。
やがてセバスチャンは何もしないアンリの変わりに父親として接するようになります。
ある日、アンリに新しい物件を紹介し留守にさせてヴァンサンを家に招待します。食事の用意をしていたセバスチャンだが愛犬がいる事に気付き後を追うと首を吊るアンリの姿を発見します。
セバスチャンは慌ててアンリの死体を隠しヴァンサンを招き入れるがアンリはヴァンサン宛の手紙を残していました。
息子なのに父親らしい事を何もしなかった反省と自分の存在そのものだったバイオリンを授ける事が書かれていました。
結末
セバスチャンはアンリの死体を自分の住まいに運び自分が働く不動産の留守電に「これを聞く頃、私はいません。さようなら」と吹き込みます。
家を爆破しセバスチャンをこの世から抹殺しました。そしてアンリとして生きるためにセバスチャンは自らの指二本を切断しました。
やがてセバスチャンが永眠した悲報が届き教会で祈るが自分のために悲しんでくれる人もいるのだと知ります。
警察がやってきてセバスチャンとの関係を聞かれるが目の前にいるドゥヴォー警部の特徴を癖で探してしまいます。
ヴァンサンのバイオリンコンクールの日が近付きセバスチャンは何かアドバイス出来ないかと勉強していたため知識だけは得ていました。
幸福
クレマンスの元にも刑事が来たと知ったセバスチャンはドゥヴォー警部に成り済まして署に入ります。そして捜査書類をチェックするとセバスチャン殺害容疑で疑われている事を知ります。
ヴァンサンの認知届、マンションや銀行の名義変更の書類をクレマンスに渡したセバスチャンは「愛犬はクレマンスに預けて欲しい」と置き手紙を残し姿を消します。
月日は流れ……
カーネギーホールでバイオリンを弾くヴァンサンにアンリと成ったセバスチャンは会いに行きます。
セバスチャンは警察につきまとわれ苦しくなり自白していました。しかしヴァンサンを苦しめたくないとお願いし警部たちの監視のもと許可が得られ会いに来たのです。
指二本失いセバスチャンは10年の刑になるが後悔していなかった。初めて楽しみができて別人になれたから。そして自分を手に入れ皆と一緒になったから。