作品情報/催眠ガール(大嶋信頼)
臨床数8万件の大人気心理カウンセラー・大嶋信頼先生。
これまでに「すぐ不安になってしまうが一瞬で消える方法」や「行動できないからの脱出法」など多くの著書を送り出し我々の背中を押してくれている大嶋先生による初小説。
勉強も出来ない女子校生の夏目明日香は家にも居場所がなく自分の存在は価値がないと思っていたがお師匠さんと出会い人のために、人を癒やす催眠をマスターしたいと希望を持ったことで成長していく。
ネタバレになりますのでご注意ください
ネタバレあらすじ/催眠ガール
中2の妹がいる4人家族の女子校生・夏目明日香は学校の勉強も出来ないし家では両親につらくあたられるので存在価値がないと思っていました。
「あんたなんか生まれてこなければ良かったのに」と母親に言われた明日香は生まれる前に亡くなった兄を羨ましいと思いました。母親に気に入られようとそればっかり気にして育ってきたせいか勉強にも集中できず母親の心は離れていきました。事業が失敗していつも機嫌が悪い父親と妹だけを可愛がる母親、そんな家に居場所はなかった。
特技は人の苦しみが分かってしまうことだが救ってあげる事はできない。
他人のことをすぐに考えてしまうのは現実から逃れるためなのだろうか・・・。
催眠療法・希望を持つことが大事
電車の中で喧嘩する人をみて「これは無理だ」と判断した明日香だったが眼鏡をかけたおじさんがすぐにその場をおさめました。なんで冴えない感じのメガネのおっさんが・・・しかしよくみると前に立ち読みしようとして嘘くさいと思って止めた催眠療法の著者だと気付きます。
友達や母親の苦しみを救えるかも知れないと思いオフィスを訪ねて勇気を持って「弟子にしてください」とお願いすると「ちょうど良かった、電話番がいないんだ」とあっさり受け入れてくれました。
はじめて優しい言葉をもらった気がして明日香は涙を流します。
電話番と言ってもほとんど電話は鳴らないので講座の時のお師匠さんの説明を聞く耳立てて修行します。
催眠は呼吸合わせ、相手が息を吸っている時に話を止めて、息を吐いているときに話す
明日香は帰りの電車の中でボヤッとみていると人の呼吸が分かるようになるが「合わせ」をしていると苦しくなってきました。また帰宅すると母親の負のエネルギーをぶつけられるので自分なんかマスターできるはずないと思ってしまいます。
それでもマスターしたいと初めて希望を持てたことでいつもの朝とは違いました。電話応対がうまくなっていき初めて何かを成し遂げたの感じれました。
また塾にでも行っているのかと友達に聞かれ、そこで初めて自分が変わっていることに気付きます。今までは分からなかったら本を閉じるか妄想して現実から離れていたのが、分からなかったら普通に飛ばして次に行くようになっていたのです。
催眠スクリプト
なぜか勉強が楽しい。今までやった事がない復習予習もするようになった。それはお師匠さんが講座で教えている催眠スクリプト(物語を作って相手に聞かせて催眠に入れる)を聞いて催眠にかけられているからだと明日香は思います。
友達を変えるスクリプトを書くことが出来るのか質問するとヒントをくれたがそのためには聞かせる前に催眠をかける同意を得る必要があると教えられます。
教室が騒がしいなか明日香は気付くとスクリプトを書き上げており催眠にかかった時の感覚が同じだと思います。お師匠さんに読んでもらうと1発でGOサインがでたので驚きます。
いつも成績ビリ争いをしていた沙知に同意を得てからスクリプトを行ないます。聞く側の者が三回連続で頷けるようなことを最初に訴えて催眠状態にさせ相手が息を吐くときに話すと自分もお師匠さんのスクリプトを聞いている感覚になり、また沙知の感情が伝わってくる感覚を得ました。
沙知は塾に通うようになり大学に行くための勉強をし始めたので明日香は驚き、負けたくないという気持ちも芽生えたことで勉強を更にするようになりました。
次に彼に振り回される由衣のためにスクリプトを書くとお師匠さんは講座で使い始めました。生徒達はすごく感動してくれたが明日香は自分が書いたスクリプトで催眠状態になっていました。
由衣は自分がやりたい事を積極的にするようになりオーでションに合格してあまり学校には来なくなりました。明日香は「あなたのおかげで旅立つ勇気を得たのかも知れないね」と悲しむ彼に伝えました。
あまりにも変った事で教師からはカンニングを疑われたが沙知が「催眠をかけられてから勉強できるようになった」と余計なことを言ったために明日香は催眠をかけることができると広まってしまった。
仕方なく呼吸を合わせるやりかたを教えるとバレーボールがうまくなったり相撲で勝てるようになった生徒が出たりしたので噂はどんどん広がっていきました。
結末・感想/催眠ガール
このあと何故かPTAの連中がやってきて、催眠で相撲を勝たせているとか生徒の成績が上がったことなどが問題視され風紀を乱す理由で退学かも知れないと追い込まれるのですが何でよ(笑)
頭カチカチのよくドラマに出てくる道徳心ない勘違いしたPTAの連中にイライラしてしまいましたよ。ただ、ここも明日香がPTAのおばさんの娘が仲良しだったこともあり友達の物語を取り入れたスプリクトを語りだしその場を切り抜ける。
そして何より、最後は酷い親が急に優しくなって終わるのですが正直、小説的には意味が分からなかった。明日香の両親が酷すぎませんかね、そこに対するイライラした感情を抱えつつ読んでいた事が影響してしまったのだろうか。
スプリクトを聞いただけで涙を流す、催眠状態に入る、人が変る、急に勉強が楽しくなる、あんだけ酷かった両親が急に優しくなる・・・「なんで?」としか思わなかった。
あんなしょうもない両親に何も言い返さず耐えていた明日香が希望を持って成長していくのはなんか安堵した感覚に近いものを感じたが私的には心を傷付けるあの両親のような人は心底嫌いなのでちゃんと謝れと納得がいかない。
「ですます。」や「である」がまじり女性が主役だと思っていたら「私」が主語になっていたりとスクリプトを読んで(聞かせ)混乱させ無意識の力を引き出すのが目的。
催眠状態になりメタファー効果を発揮していたという事。ただ自分自身が動かないと何も始まらないのでこれがきっかけとなればいいですねと言う事ですね。明日香の場合は「勉強が出来ない」や「存在価値がない」と思っていたのはただの思い込みだと気付かされた。由衣は「私なんかオーディションに合格するはずないと思いブレーキをかけていた」・・・
だけど自分が変りたい、あれやりたい、など何も思ってなかったら意味あるのだろうか、でも無意識の力は自分でも分からないか。
明日香は自分には関係ないと思い友達のために意識的な抵抗が弱まりスクリプトを書いたが無意識に自分にも届いていたということ。って事は自分で人のスプリクトを書いてみるのもいいかも。
えっ、そうだったの。ただの小説ではなかったのだ。意識が酷い両親とPTAにいってしまったために効果がなかったのだろうか。なんかそのせいでイライラしてしまったもの。
いや、まてよ。混乱はしたし寝落ちしたことが1回あったな・・・催眠にかかっているのかも、この先ちょっと楽しみにしてみる。そして再読してみようと思う。