作品情報/使命と魂のリミット
東野圭吾によるミステリー
大動脈瘤切除がうまくいかず中学生の時に父親を失った氷室夕紀は心臓血管外科医となりました。
中学生の時、執刀医と母親が頻繁に会っており現在恋人関係になっているので「わざと失敗したのでは」と疑っていました。
夕紀はこの目でどんな人間が見極めようとしていたが病院に脅迫状が届くようになる。
ネタバレあらすじ/使命と魂のリミット
氷室夕紀は中学三年の時、大動脈瘤切除がうまくいかず、父(健介)を亡くし医者になる決意をした。
同じように大動脈瘤の人を助けたい理由で心臓血管外科までたどりついたが実はもう一つ目的が・・・
●教授の西園陽平は父親の執刀医だった人で優秀なのになぜ救えなかったのか?
●父親の手術が近くなると母親・百合恵と西園が会っているのを目撃している
●現在、母親と西園は恋人関係になっている
わざと失敗したのではと疑っていた夕紀は動機がある事を知ります。
病院に脅迫状が届き騒動になるのだが・・・・。
捜査する七尾刑事は20年前父親の部下であり、父親は少年グループをパトカーで追跡していたところ少年が事故死し問題視されたため辞職した事を知るがその少年は西園の息子だったのです。
”自分の使命は市民の安全を守る事、パトカーを見て逃げ出すような人間を放置しておくことは使命を放棄する事になる”
事件!! 病院に脅迫状が届きます!!
●医療ミスを隠すな、公表して謝罪しろ、病院を爆破するぞ!
悪戯だと思っていた矢先、同じような脅迫文と発煙筒がトイレで見付かります。
●次は発煙筒ではない。早く医療ミスを公表しろ!
七尾刑事は転院や退院する患者が続々といるのを見てそれが犯人の狙いなのではと疑います。
残る患者の中に大動脈瘤の手術を受けるアリマ自動車の島原社長がいる事を知ります。
アリマ自動車はエンジンを制得するICに欠陥があり対応が遅れ犠牲者を出していた。
被害者遺族などを調べてみると「被害者の会」に間接的に被害を受けても入れるのかという問い合わせがあった事を知ります。
救急車で運ばれる途中、欠陥車による大渋滞で病院に到着するのが大幅に遅れ死亡してしまった神原春菜という女性がいました。
島原総一郎の手術の助手をするよう西園から命じられた夕紀は刑事から春菜の写真を見せられ隣に写っている男は同僚の望と一緒にいた男だと言いました。
その男は直井譲治、日本サイバトロニクスに勤め電子計測機器開発課に所属していました。
島原総一郎の手術が開始され夕紀はこの目で西園の手術を見極めようと決心しているが一瞬暗くなります。受信施設が爆破され病院が停電になったのです。
自家発電装置により大事な機器は無事動いていたが島原の心臓は人工心肺装置に委ねられ体温は二十五度近くまで下がってしまいます。
やがて自家発電システムが停止し完全な停電となり手術室は暗くなります。
患者の体温が上昇すると死んでしまうので血液のチューブを外側から冷やしたり人工心肺のバッテリーが切れたので手動に切り替えたりします。
人工血管の置換は完了し体外循環している血液量を段階的に減らしていくが脳を保護するため下げていた血液の温度を今度は体温近くまで上げねばならず使い捨てカイロで温めます。
結末
望の元に譲治から電話があったので七尾は携帯を変わって貰い今回の事件で何か変わるはずだから島原を殺してはダメだと説得します。
また島原の事を探るためだけで愛情はなかったのかと嘆く望みは「楽しかったから恨んではないが愛情が嘘でないならお願いだから助けて」と必死でお願いすると譲治は復讐するのをやめるためパソコンを操作しました。
自分が心臓を止めたから責任を持って絶対に助ける!!と懸命に手術する西園を見てどんな事情があってもわざと失敗するはずないと夕紀は思います。
手術が成功すると、西園は疑われているのを知っていたから助手を任せたのだと言いました。
10年前、父親は少年の父親だと知っていたが「どんな事情があろうと使命を全うする人だから任せる」と母親に話していました。
母親は手術について西園と話し合っており夕紀が目撃していたのはそのためだったのです。
そして父親が死んでずっと後から2人に恋愛感情が芽生えたことを知ります。
夕紀は西園みたいな先生になりたいと思ったが狭心症の発作で西園が倒れます。
夕紀は心配する母親に「父親を2回も死なせるわけにはいかない」と言い手術室に向かいました。