作品情報|白鳥とコウモリ
東野圭吾の35周年記念作品・新たなる最高傑作。
善良な弁護士が遺体で発見された事件を調べる五代刑事は33年前の殺人事件に行き着き、第一発見者・倉木が被害者と会っていたことを突き止める。
「33年前の事件も今回の事件もすべて私がやりました」
33年前の事件は容疑者として逮捕された者が警察の追求により首を吊っていました。
自供により事件は解決すると思われたが刑事は裏が取れず、加害者の息子は父親の性格からあり得ないと思い嘘を付いているのではないかと疑う、また被害者の遺族も父親のイメージとはかなり外れているので倉木の供述は嘘だと思います。
倉木の供述は真実なのか、嘘なのか、捜査は打ち切られ未知なる迷宮に引き込まれるが五代刑事は自分のミスに気付き・・・
本を手に取った時に代表作「白夜行」なみに分厚いwwと思ったが読みやすくて話も入ってきやすかった。さすが東野圭吾さん。
【ネタバレになりますのでご注意下さい】
ネタバレあらすじ

事件
車の後部座席からナイフが刺さったままの弁護士・白石の遺体が発見されます。スマホのGPSにより足取りが分かり血痕が検出された事で殺害現場から運ばれたものと思われる。
捜査一課の捜査員・五代は所轄の中町と組み被害者の人間関係を洗うが誰もが恨みを買うような人ではないと言います。
被害者が最初に寄った場所は鶴岡八幡宮の近くのコーヒーショップ!
被害者との通話記録が確認され愛知県に住む倉木に会いに行くと無料相談だったから電話しただけだと言われるが鶴岡八幡宮の札やお守りがあった。
倉木の息子から目撃情報を受け小料理屋に足を運ぶとコーヒーショップから見える場所であり、母娘(洋子と織恵)が経営していて鶴岡八幡宮の札などを買っては常連さんにあげた事があると言うので倉木が隠したかったのは店ではなく母娘?
洋子は夫・淳二が殺人事件の容疑者として逮捕され首を吊って亡くなっていたので警察に敵意を抱いていた。33年前に金融業者が殺害された事件で時効を迎えたのを機に捜査資料は破棄されていました。
被害者の灰谷は悪徳商法などで荒稼ぎし消されてもおかしくない人物、騙されたと気付いた淳二は殴っただけで刺してはいないと訴えていたが刑事の追求に耐えられなくなり首を吊ってしまった。
通報者は被害者の甥と運転手だがその運転手の名前は倉木だった。
自供
五代は遺体の第一発見者だった事を隠して母娘に会う理由はなんなのか追及すると倉木は犯人は自分だと自白。
33年前、仕事に向かう途中に接触事故を起こしてしまい金を要求されるように。会社にバラされたくなかったし子が誕生したばかりで職を失いたくないと従ったがエスカレートしてきたため脅すつもりでナイフを手にしたが刺してしまったと供述。
会社にやってきた被害者の甥と一緒に入り第一発見者となったが、その後罪滅ぼしのため自分の遺産をすべて他人に渡す事は可能なのか相談したのが白石。
正直に話してしまったが説得の手紙が届くようになりこのままでは母娘や息子にもバレてしまうのではないかと恐れ消すしかないと思った。
疑惑
白石の死体が発見された車から倉木の指紋やDNAなど検出されず上京した証拠もない。また倉木と白石の出会いも偶然野球観戦で出会ったと・・・
また倉木の息子・和真は冷静に2つの事件の記事を読み、どう考えても人が良い父親の犯行とは思えないし絶対にあり得ないと思います。
白石の妻子(綾子と美令)は被害者参加の許可が裁判所から下り記録を読むと昔の殺人事件から始まっていたので驚く。
和真は話を聞きたいと思って会いに行き父親に代わって謝罪するが父親が嘘を付いているようにしか思えないと申し訳なさそうに口にすると自分もそう思うと美令は同意する。
迷宮入り
和真は新居に引っ越した日が事件を起こした日付と同じだったので時効を待っていたのだとしたら殺した日を知らないわけないし念願だった新居に引っ越すわけないと思う。
小料理屋に行くと店から出てきた男が織恵の元夫だと分かる。二人は彼女の父親の事が家族にばれてしまったから別れたが冤罪だと分かった以上、子の教育を一緒に何が出来ないかと相談しにきていたのだった・・・が織恵は再婚しているから復縁は無理。
白石の娘・美令は父親のアルバムを調べると知らない婆さんと一緒に映る写真を発見する。戸籍を調べると祖父は別れた元の奥さんとの間に出来た子で写真に映る婆さんがそうなんだろうと察する。
父親が愛知県に行かなくなった年が灰谷が殺された年であり和真に頼んで一緒に調べると灰谷の金融詐欺の被害者だったので驚きます。
主犯
倉木はプリペイド携帯で白石を呼び出しそれを海に捨てたと供述していました。わざわざ買うはずないと思い現場近くの監視カメラをチェックすると公衆電話を利用したのが小料理店に飾ってあった写真の男の子でした。
それは織恵の息子で元夫と暮らしている中学2年生の安西知希!警察から追及される知希は真犯人は白石だと知って復讐したのだと動機を語る。
結末|罪と罰
五代は釈放された倉木に同行を願い話を聞きます。
倉木は仕事に行く途中に灰谷と接触してしまい警察に連絡を入れました。大したことにはならないと思い保健を使おうとは思わなかったが治療費だの怪我をして動けないから運転手をやれなど言われるように。
会社に向かい電話番の人と階段を上がると灰谷が刺されて倒れていました。甥は部屋に入るのが恐ろしいのか外に出ていき通報しました。倉木はなにやら争ったようだと気付き窓を開けると白石が塀を乗り越えようとしているのを目にし互いに目が合うが頷いて彼を逃がし指紋を拭きました。
白石とは何回か顔を合わせており契約させられた祖母のために解約したいと訴えていたので絶対取り返した方がいいと伝えていました。短い時間でも灰谷が人を騙す悪人だと把握していたのでおそらくそれが理由の行動。
福間淳二という者が誤認逮捕されたので白石は自首するかも知れない、警察が訪ねてきたらすべて話さそうとしたが淳二が自殺したとニュースで知り驚く。
白石が心から反省していたので誤認逮捕は警察のミスだし生き返りはしない、生きている人間の幸せを考えるべきと告げました。
数年後、犯罪者の家族として洋子と織恵が追われる生活をしていると知り支えていたが織恵から告白され自分も好意を抱いていたが交際できるわけありません。追求されたので彼女だけには真実を話し謝罪しました。
しかしスマホを盗見した知希が淳二の孫だと名乗り白石に会いに行ってしまいます。
人殺しの孫とレッテルを張られ家族がバラバラになりずっと苦しんでいたのです。
倉木は知希から詳しく話を聞いて子供の犯行だと隠すために裏工作、白石が過去の罪を償おうとしたんだと分かり倉木も警察が訪ねてきた事で身代わりの自供をしたのです。
感想/白鳥とコウモリ
とても面白かったんですけど後味が悪い。主犯の知希は苦しい生活を強いられたわけでもなく動機は同情を誘うための嘘であり殺人に興味があり日頃からナイフを持っていたなんて・・・。
裏付けが何1つ取れていないのに犯人が自供すれば逮捕され死罪になる事もあるのでしょうか、ちょっと怖いですね。
そして加害者の息子・和真と被害者の娘・美令が接触して一緒に調べるのはちょっと違和感、普通はないと思うし一緒の時間を過ごした事で恋愛感情が芽生えるとはびっくりです。
それにしても和真がかわいそうでならない、身代わりになったら息子がどうなるか倉木は考えなかったのかしら。それに白石の事をなんで織恵に伝えたのか・・・倉木と白石は十字架を背負って償いながら生きなければならない・・と言ってももう亡くなっているけど美令はそんな深く考え込む必要はないと思うんだけどなぁ。