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東野圭吾「魔女と過ごした七日間」原作のネタバレあらすじ&感想結末

作品情報

東野圭吾の記念すべき100作目のラプラスの魔女シリーズ

AIによる監視システムが強化された日本で指名手配犯捜しのスペシャリストだった元刑事・月沢克司が殺される。

父を亡くした少年・陸真は物心つく前に母親を病気で失っており、自分には義母兄妹である7歳の照菜がいることを知る。照菜は特殊な記憶力の持主で驚くが研究施設で以前会ったことがある不思議な能力を持つ円華と再会する。

陸真は円華の推理に同行し、警視庁の脇坂は警察官時代に克司が使っていたノートから組織の闇が・・・

 

映画化された前作の「ラプラスの魔女」のネタバレ感想はこちら

 

東野圭吾

1958年生まれ。85年に「放課後」で第31回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。99年に「秘密」で第52回日本推理作家協会賞、2006年に「容疑者Xの献身」で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、12年に「ナミヤ雑貨店の奇蹟」で第7回中央公論文芸賞、13年に「夢幻花」で第26回柴田錬三郎賞、14年に「祈りの幕が下りる時」で第48回吉川英治文学賞を受賞。近著では「クスノキの番人」「ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人」「白鳥とコウモリ」などがあり、ゲレンデを舞台とした雪山シリーズも代表作の一つ。

 

東野圭吾・作品一覧はこちら

 

完全ネタバレになりますのでご注意ください

 

ネタバレあらすじ/魔女と過ごした七日間

 

魔女との出会い

月沢克司の溺死遺体が発見され行方不明届けを出していた長男・陸真のもとに警視庁の脇坂が訪ねてくる。

克司は警視庁に在籍していたが今はAIの時代、見当たり捜査班は縮小されたために辞職を余儀なくされ、警備保障会社ではAIのために潜入監視員を担当していました。

陸真は警察に頼まれ遺品を整理していると7歳・永江照菜の診察代の領収書を発見し誰なのかと思います。警察官時代に使っていたノートを脇坂に持っていくと父親が頻繁に永江多喜子に電話していたことを知らされます、

また通帳を調べると振り込まれた額を多喜子に振り込んでいたので気になり同級生・純也と領収書にあった大学病院を訪ねます。ふと車椅子の子が乗った車に数理学研究所と書かれていたので勘が働き行ってみると前に図書館で出くわした羽原円華と出会います。

その時、円華は天気を言い当てたり紐なしのけん玉を簡単に成功させ、更に玉を転がしてエレベーターのドアを止めたりと不思議な能力の持主だったので陸真は覚えていました。

照菜は多喜子の娘で父は克司だと教えられ、照菜は一度見たものは忘れない特殊な記憶能力があって研究の被験者でした。陸真は父の通帳に振り込んでいた二人の名前を多喜子に聞くと知らないようだったが脇坂が見せてきたノートの中にあったと照菜は言います。

 

魔女の推理と被害者が遺したノート

脇坂は克司は指名手配犯を見つけたら娘の治療代のために黙っているかわりに金を要求していたのではと思います。ノートの中でまだ逮捕されていない者の中に克司を殺した犯人がいるのではと疑い捜査に出ます。

警備会社を訪ね克司が早退した日のモーターショーの映像を見せてもらうがそこに指名手配犯は見つかりませんでした。しかし克司の同僚だった刑事からノートに貼られている「新島史郎」の写真は見た時ないという証言を得ます。

新島はT町一家三人強盗殺人事件(被害者・山森の裏の顔はカジノの客引き)の犯人だと匿名の情報が届いたが身柄を拘束しようとしたところ船から海に飛び込み死亡していました。

円華が自分なりに推理してみると言うので陸真は純也を連れて遺体発見現場に向かうと、地形や水位、風向きなどを見ていた円華は殺された場所はここではない、警察が遺留品を探す場所よりも上流に行きここが犯行現場だと言います。

陸真はそこで克司の虫眼鏡を発見します。またカジノのチップと克司の古いスマホを家で発見するが10年以上前の動画が残っておりノートにあった新島の顔だと気付きます。

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疑惑

新島の監視場所に克司が一度だけ来たことが分かり上層部の誰が行かせたのかと脇坂は思うが特命捜査係には接近するなと命じられているので事件に詳しい記者に話を聞きます。

するとT町事件解決の時期は密告によりDNA鑑定で解決した事件がいくつもあったと聞かされます。DNA型データーベースはそのころ一般人に対しても拡充されていたので警察庁が情報提供があったことにしたのではと疑います。

また、脇坂の話を聞いた記者は新島が行方不明になった後、何者かが夫人の指輪などを持ちだして新島の部屋に隠したと疑っていたので、警察が新たな捜査手法を開発しているのではあれば結果を操作することも出来るし新島が逃げたのはコカイン密売に関わっていたからではないかと言います。

 

円華は克司が持っていたカジノのチップは違法カジノだと思いボディーガードで元警察官のタケオに調べてもらうとカジノのメンバーではない事が分かります。タケオはかつて潜入捜査で身分証を出していたので記録が残っていれば誰かが出てくるはずと円華は読み紹介者がいる店「ブルースター」に行くといきなり目隠しをされ連行されます。

事情を話すと克司は持っているチップを見せ、これを使っているカジノを教えてくれと訪ねてきたことを知ります。円華はモニターに移るルーレットの番号を連続で言い当て、ディーラーをやらせてほしい、それなら情報漏洩にはならないでしょうと話を持ち掛けます。

 

進展と新たな疑問

陸真から新島が映っているスマホを渡される脇坂はすでに死亡しているのに克司が大事に残していたのは新島は生きていると信じているか、動画や写真の人物は新島ではないか、どちらかだと思います。

また陸真の友人・純也が「ブルースター」のコースターを使っているのを見逃さず追及すると円華と陸真が闇カジノに行く経緯を知ります。克司を殺した犯人が現れると疑っているのかと分かるがルーレットの話を聞いて円華の能力はなんなのかと困惑します。

 

克司がゴミを持って歩く姿が防犯カメラに映っており、指名手配犯に金銭を振り込ませていた可能性が高いので本人確認のためにゴミを持ち去ったと考えられます。

脇坂は円華と陸真が無事に闇カジノに入って行くのを見届けたあと殺害現場付近の聞き込みに加わります。ゴミを漁っていた人がいたらしく注意すると妻が間違って捨ててしまったのだとメダルのようなものを取り出していたと知りピンときてカジノのチップを見せるとビンゴでした。

ディーラーとして役目を終えた円華は隠しカメラで客を撮影していたので克司のノートにある写真と見比べると似ているような人物はいたが照菜に違うと訂正されます。

脇坂からお願いされていた純也はその中に新島の写真がない事を指摘すると陸真は死んでいるからと思いつつ念のため写真と動画を見せます。すると照菜が指さした画面に映るものは客ではなくブルースターのオーナーでカジノの客引きである老美魔女の赤木ダリア(赤木貞昭)でした。

女装していた事に驚くが、「新島史郎」が赤木なら海に落ちたのは誰なのか?別人を新島と人違いしたのか?写真の人物を新島と断定したのが間違いなのか?なんにせよ警察の間違いに気付きます。

克司はそれを知って問い詰めた結果、殺されることになったのだろうか・・・ブルースターの事を教えてくれた人物にタケオは女装している赤木の本名が「赤木貞昭」と聞き出す。

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結末・ゲノムモンタージュ

脇坂と円華は闇カジノから出てくる赤木を尾行し家を確認するが円華が灯油臭い事に気付きノックします。

そこには警察庁科学警察支援局の伊庭がいて、赤木が倒れており床には灯油がまかれていました。拳銃を突き付けられる脇坂はT町事件の真犯人だと思ったから赤木を尾行した、すべては克司が指名手配されていない新島の写真を指名手配犯ノートに貼っていた事からたどり着いたと告げます。

あの写真はDNA解析による復顔術・ゲノムモンタージュでありそこから新島が浮上したが海に飛び込み溺死してしまったために殺された夫人のアクセアリーを新島の部屋に移し伊庭は事件を解決させていたのです。

唯一別人だと気付き真犯人を突き止めた克司から連絡があったので今さらほじくり返されたくないので殺し、赤木も口封じしようとしていたのです。

国が義務化を推し進めるナンバーカードの顔写真と照合すればゲノムモンタージュの主はたちどころに判明しDNAも採取できる、それが全国民のDNA型データーベースの構築というわけです。

 

感想

克司を殺したのは伊庭だがT町事件の解決方法は伊庭の単独犯かは分からない。赤木がT町事件の犯人だと認めたので警察はどのように発表するんでしょうね。新島は誰?ってことになりますよ。

脇坂は仲間に加わらなければ円華が殺されると思い仕方なく赤木を殺す共犯者になろうとしたが円華と通信を繋いでいた陸真と純也が激しくドアをノックした結果、全員逃げ出すことができましたね。まぁ、撃たれたけどもwそして円華の能力、自転車からTシャツを上空に投げてバイクで追ってきた伊庭の顔に巻き付かせるとはさすが、これにより伊庭は意識不明だからもし息を引き取れば警察はすべての罪を着せることができますねw

克司は金銭を要求したわけではなく出頭すると言われたから保釈金をだせと要求、しかし出頭しなかったから多喜子に振り込んだということらしいが・・・我が子のためなんだから金銭を要求していた方がまだしっくりくると思うのは私だけでしょうか。

 

前に東野圭吾さんは「天空の蜂」で原発の問題点を題材にしたことがありましたね。その時はいまいち何も思わなかったが数年後の東日本大震災で初めて事の重大さに気付かされました。今回も免許証や保険証と一体化するナンバーカードの問題点がありました。もしかしたらそのあたりを東野圭吾さんは伝えたかったのかな。

にしても「ラプラスの魔女」は円華が甘粕健人を捜していたから理解できるが今回の捜査に関わってくる意味がちょっとね、笑。未来を予測できる能力があるのにあまりそこには重点が置かれていなかった気はする。

東野圭吾さんはすべて読んでいるけどこれは正直いまいちでした。