作品情報・キャスト
鴨志田穣の同名小説を浅野忠信と永作博美の共演で東陽一監督が映画化
アルコール依存症を家族修復のために何とか克服して立ち直ろうとする夫と貶しながらも優しく見守る元妻と子供たち。
ネタバレあらすじ/酔いがさめたら、うちに帰ろう。
戦場カメラマンの塚原安行は「来週は素面で家族と会うのです」と母親の弘子に言いながらウォッカを飲みます。
幻覚をみるようになった安行は夜中トイレに行くと吐血します。弘子は慌てて救急車を呼び、駆け付けた元妻で人気漫画家の園田由紀は「大丈夫、まだ死なないよ」と声を掛けます。
これが10回目の吐血となり三日間眠りっぱなしだった安行は目を覚ますと弘子から「死にたければ勝手に1人で死んでちょうだい、家族を巻き添えにしないで!」と言われます。
由紀が子供2人(宏、かおる)を連れてお見舞いに来てくれます。医者から生きているのが不思議だと言われ由紀は「そのうちころっとあの世へ行くね」と言います。
離婚していても安行は由紀を頼りにしてあまえます。また子供を守るために離婚した由紀も一度愛した人を嫌いになる事はできずアルコール依存症の安行をほっとく事が出来ないのです。
アルコール依存症は怖いが誰からも同情はされない
「アルコールやめる」と安行は宣言し、由紀はアルコール専門病棟を調べておくと言いキスします。
アルコール依存症は他の病気と違って自業自得で世の中の誰も本当には同情してくれないのです。
退院した安行は由紀から紹介されたクリニックに通院することになり睡眠薬、抗生剤を処方されます。「これを飲んでから酒を飲んでしまうと苦しくなりますよ」と先生は言いました。
お寿司を食べに行った安行は奈良漬を食べます。帰りにスーパーに行きビールぐらい大丈夫だろうと買って味わいながら飲むが物足りなくなってしまい店に戻ります。
公園でカップ酒を3本飲み干した安行は倒れてしまい後頭部に怪我を負います。
がっかりした弘子と由紀は怒るどころかため息しかでません。
精神病棟に入院
弘子は安行を入院させるため連れて行きます。
患者に合わせた献立になっており他の患者の食事よりもだいぶ少なく「なんでこれだけなんだよ!」と心で叫び「これだけですか?」と看護師に訪ねます。
安行が入院する病棟はアルコール専門病棟ではなく精神科病棟でした。担当医者から食堂動脈瘤破裂ってどんな飲み方していたんだと言われるが安行はカレーの匂いに喜び医者の声は耳に届いていませんでした。
そして安行にはいつもの食事でカレーは出ませんでした。みんなと同じカレーが食べたかったと怒鳴るが瞬時に怒ったことを安行は覚えてません。
安定剤を飲まされアルコール専門病棟の方へ移りますと説明されます。「アルコール専門病棟の方には女性はいますか?」と安行は聞きます。
アルコール専門病棟は2人1部屋で女性はいません。安行は担当看護婦の苗字ではなく名前を聞きます。
食事の時はみんなで一緒に食べるが献立を見て怒りが湧いてきて睨みつけるが看護婦の笑顔が可愛いので許すと言って食べ始めます。
診察すると「あの世行きにリーチです。酒を飲み続けた原因は自分で分かりますか?」と主治医に聞かれた安行は答えられませんでした。
由紀が子供2人を連れてお見舞いに来てくれました。
由紀が作った弁当を食べる安行を見て看護婦は止めようとするが主治医はあのままで良いと言いました。
禁断症状はなく反省もするようになった安行は主治医から「なにを反省してるの?」と聞かれます。
安行は妻に暴言を吐いたことだと答えるがそのまま気を失い倒れます。
肺に穴が空いており手術をして2週間入院したあとアルコール専門病棟に戻ります。すると他の患者から次々と「元気そうだね、お帰り」と声がかかります。
結末
食事の時、今日はカレーの日だと気付くが安行だけはいつものお粥でした。
隣に座る患者から「白いご飯いいね〜、俺カレー好きじゃないんだよ」と言われ睨みつけます。
一時間の外出許可が出るようになった安行は由紀や子供達とお蕎麦を食べに行きます。「飲みたい?」と聞かれ「飲みたいよ」と答える安行は「飲めば?」と言われ「飲まないよ」と言いました。
退院したらみんなと一緒に暮らしたい、家族になりたいと安行は言うと子供達も賛同します。
喧嘩をして覚えていない者、急に鼻血を出す者、脱走する者、いろいろな患者と接しながら自治会ミーティングの会長を担当するようになった安行にもついにカレーが出されます。
家族になるために気持ちを強く持ちアルコール依存症克服へと順調に向かっていたが安行に腎臓癌が発見され先が長くない事が分かります。
「悲しいのか嬉しいのか…区別がつかなくなっちゃって…」と由紀は言います。
退院して家族になるのは嬉しい…もう心配しなくて済む…まだ小さい2人の子供の事を思うと悲しい…
告知された安行は自分の父親もアルコール依存症で母親に暴力を振るっていたことを話し始めます。家を出た安行は戦場カメラマンとなるが目の前で死んでいく者、飢えに苦しむ者、厳しい現実に耐えられなくなり酒の量が増えたのです。結婚して子供ができても酒はやめられず気付けば父親と同じ事をしていたのです。
話すことで自分と向き合い、また自分の話で克服するきっかけとなれば良いと安行は思います。
退院した安行は由紀や家族たちに迎えられ一緒に過ごします。「3ヶ月経ってもなかなか死なないね〜」と由紀を言います。
はやく死んだ方がいい?と安行に聞かれた由紀は「どんな悲惨でも生きていた方が良い」と笑います。
家族で浜辺を散歩します。安行が子供2人と手を繋ぐのを後ろから見る由紀は幸せを感じていました。
しかし、この幸せも長くもたないと由紀は感じ取るのです。