世宗大王 星を追う者たち・作品情報
ハン・ソッキュとチェ・ミンシクが共演したホ・ジノ監督による歴史ドラマ
明に属国扱いされ独自の文字や暦を持つことも許されなかった朝鮮王朝時代。
名君として大王と呼ばれる朝鮮王朝第4代王・世宗は豊富な科学知識と高い技術を持つチャン・ヨンシルの才能を認め反対を押し切って武官に登用する。
朝鮮にはなかった水時計や天体観測器を発明するが、明の怒りを恐れる側近たちも存在し純粋に科学的興味を追い求めていただけのヨンシルは政治的な争いに翻弄されていく。
ネタバレあらすじ/世宗大王 星を追う者たち
奴婢を登用
明に属国扱いされ独自の文字や暦を持つことも許されなかった朝鮮王朝時代。
明からの独立を願う朝鮮王朝第4代王・世宗は奴婢のチャン・ヨンシルが描いた水時計の絵を見て説明を求めます。
絵に描かれている通りに作るよう命じた世宗は本格的に作るよう命じるがヨンシルは奴婢であるため王様に目をかけられたからといい気になるなと武官に殴られます。
それを知った世宗はヨンシルを平民とし正五品に武官に任じました。簡単に奴婢を登用させるべきではないと反対する重臣もいたが才ある者に官職を授ければ国のためになると告げます。
領議政に意見を求めると先例があるので構わないが今少し品階を下げるのが妥当と言われ「では皆で品階を決めろ」と命じました。
王様の夢
世宗は実演させるとヨンシルが完成させた水時計で正確な時間が分かる事が証明され喜びます。
世宗とヨンシルは子供の頃から天を仰ぎ見ることが好きでした。ヨンシルは奴婢だったために頭を上げると叱られる生活を送っていたが星だけはいくら頭を上げ眺めても叱られることはなく話を聞いてくれて語りかけてくれたと言います。
王様に勧められ一緒に横になって星を眺めると「北極星の隣に見えるあの星がそなたの星だ」と言われます。
「そなたが朝鮮独自の天文儀器を作るのだ」
世宗は明国の農事暦が朝鮮と合わず農作業に苦労しているので朝鮮の地に合う農事暦を作ると告げると「明国の皇帝のみが定め得るもの」と大司憲(官吏の監察を行なう官庁の長官)に反対されます。
民国は天文技術を朝鮮に伝授するわけないと言われ「だから自ら作るのだ。ヨンシルに任せる」と告げます。
ヨンシルは梅雨が続き待ち遠しいと嘆く王様のために寝室の襖に星を描き王様の星である北斗七星を描くと世宗はその横にヨンシルの星を描きました。
「明からの独立、そして独自の時間、独自の文字を創るのが夜の夢だ」
明を恐れる重臣
ヨンシルが完成させた天文儀機を使って実演すると世宗は独自の時間が持てると喜びます。
明に知られたら先行きが不安だと思う領議政や大司憲はいまのうちに明に知らせて王様とヨンシルを離すべきだと思います。
明の怒りを買い四拝を強いられた世宗。
「朝鮮は大明暦を廃し自ら作った機器により独自の時を定めた。大明帝国の命に逆らうとは言語道断。国として生き残りたければ天文の研究を止め機器を取り壊し諸侯国の道理を果たせ。大明帝国の技を盗み天文儀機を作った者を南京に護送せよ」
重臣たちのチャン・ヨンシルを引き渡すかどうかの話し合いは分裂してまとまらず領議政は王様が国を見捨てるはずがないので様子を見るべきと告げます。
王宮への出入りを禁じられていたヨンシルは1年かけて王の輿に天文を描いていたが天文儀機が運びだれていると報告を受け駆け付けると王命だと言われ動揺します。
大臣らと明国の使臣が天体観測機器の前に集まり王として行かねばならないと進言を受けているとヨンシルの声が聞え世宗は出て行きます。
「王様の夢を実現させた事が罪なのですか、明の技を盗んではいません。天文の考究をやめてはいけません」
謀反の罪
王様は天体観測機器を燃やすよう命じ苦労を知る重臣が泣きながら命を取り下げるよう願うので自ら火を付けその場を離れます。
ヨンシルが投獄されたので勝手なことをした大司憲を責めると逃亡の恐れがあったからだと言われます。余が命じたかともう一度聞くと領議政が「朝鮮を守るために明に引き渡すべき、忠心を察してください」と進言しました。
王様は世子に譲位すると告げ引き籠もると国政を任せるのは時期尚早だとして命を取り下げるよう世子だけでなく重臣たちも跪きます。
衰えたから温泉療法にでも行くと告げ輿に乗り込むと星空が描かれており王様は自然と笑みがこぼれます。
王様がいないうちに明に引き渡したい領議政はヨンシルの部屋で発見した物は何なのか調べます。領議政は「これが明や朝鮮の両班たちにバレたら明で療養中の王様は無事に戻って来れないかも知れない」と牢獄されるヨンシルに告げます。
ヨンシルが明に護送された頃、王様を乗せた車輪が壊れます。明らかに細工された痕跡があり王様は「漢陽へ戻り崇禄大夫に会え」とチョン将軍に命じます。
チョン将軍は急行すると王様から賜った尚方剣を差し出され兵曹の長となって1500の兵が与えられます。チョン将軍は襲撃をかけてヨンシルを救出しこの場にいる者全員を漢陽へ護送します。
結末/世宗大王 星を追う者たち
崇禄大夫は領議政に会いに行き「この国の重臣たちは王様に従わなくなりました。だから車輪に細工したものだと疑われていますよ。夜遅く投獄されているヨンシルに会いに行ったのなら黒幕だと疑われてもおかしくない」と脅します。
世宗は帰還すると崇禄大夫に兵を率いて王宮を包囲するよう命じすべての臣下を朝廷に召集させます。王の輿の車輪に細工するのは謀反だとして明国と交わした密書を証拠に大司憲と同知事を責めます。
また「皇帝の文書を捏造し貢ぎ物の多くを着服している事を知らぬとでも思ったか」と皇帝の使臣に告げます。「ヨンシルは朝鮮の国法により罰する、お前は明に帰らないのなら謀反人と共謀して朕を侮辱したゆえ国法により処刑する」と言い放つと使臣は明に帰って行きました。
「明国の使臣と手を組み余の面目を潰し腹心を引き離し天文儀器を燃やさせた。それだけでなく余を殺めようと謀反を企てるとは」と世宗は剣を引き抜くと世子や重臣たちは跪きます。
「天体観測機器を再び作る。余の意に二度と逆らうな」と告げると独自の文字を持つ件は別問題だと領議政に言われます。
ヨンシルの部屋から発見された箱の中には見知らぬ文字が入っており、それは朝鮮が独り立ちする事を望む王様が考えたヨンシルと自分の名前でした。
「新しい文字を作ることを諦めるならヨンシルの赦免を率先して支持します」
世宗はヨンシルに会いに行き車輪に細工したのは自分であると告げ笑います。そして逃走資金を渡すがヨンシルは自ら牢に戻ってきたと報告を受けます。
「世宗実録」1442年3月16日、大護軍チャン・ヨンシルは制作を監督した王の輿が行幸中に壊れたために尋問を受けます。
領議政がヨンシルの赦免を願い出たため王様は受け入れようとしたが察知したヨンシルは「私が王を殺めようと細工したんだ」と叫んだため驚きます。
ヨンシルは「王様は夢を実現させてください」と目で訴え王様は涙を流します。
1444年、朝鮮初の暦書である七政算が編纂。1446年には朝鮮固有の文字ハングル「訓明正音」は公布された。
感想
ちょっと分かりにくい描き方だったのが残念だが独立するための準備をしたい世宗と明の属国だと受け入れながら生活する重臣たちのぶつかりって事よね。
ヨンシルの協力が必要なわけだが明に従う重臣たちは王と引き離したいと考えたわけね。王様は最後に自ら車輪に細工して尋問して助けようとしたのだろうが夢を諦めて欲しくないヨンシルが罪を認めてしまった。
実際、本当に輿を破損させたかどうかは謎ですよね。チャン・ヨンシルは高麗の時は高官の地位にあり朝鮮へと王朝が交代すると奴婢に転落、4代王・世宗の時に官職をあたえられたわけだが判断が難しい。世宗からは重要視されたのは事実っぽいが奴婢が出世するのは両班たちが納得しない時代なんで罪を着せられた可能性は高そうよね。