韓国映画「七年の夜」作品情報
女性作家チョン・ユジョンの同名小説をリュ・スンリョンとチャン・ドンゴンのW主演でチュ・チャンミン監督が映画化。
濃霧な夜、車を走らせる警備員ヒョンスは父親ヨンジェの暴力から逃げる少女を轢き殺してしまい隠蔽を図る。娘を亡くしたヨンジェは復讐の鬼となる。
ネタバレあらすじ/七年の夜
隠蔽
警備班スンファンは社宅案内のためセリョン湖が広がる村に行きます。
ダムを造る時は建物など解体して水を入れるが村をそのまま沈めたと噂されており昨年テレビ局が取り上げ潜水士を連れて来たがそのまま戻ってくる事はなくカメラも壊れており「人を食らう湖」や「呪われている井戸」と呼ばれるようになりました。
送別会で遅くまで楽しんでいた警備員ヒョンスは妻から早く社宅を見に行けと電話がありセリョン村まで車を飛ばすが前方に院長ヨンジェが運転する車が現われます。
ヨンジェは妻ハヨンが出て行ったので義父に「一週間で戻らなければ覚悟しておけと伝えてください」と電話していました。
ヒョンスはスピードをあげて抜き去るがいつの間にかセリョン村を追い越していました。スンファンに電話するがダムの見回りに行っており留守だったので車で戻るが道端に飛び出してきた少女を轢いてしまいます。
少女は暴力を振るう父親ヨンジェから必死に逃走をはかったセリョンでした。セリョンが手にする携帯は家から逃げ出したママと連絡を取るためのものでした。
怖くなったヒョンスは泣きながら少女を抱えてセリョン湖に沈め隠蔽しました。
真相
鹿にぶつかったことにして車を修理したヒョンスは夜遅くに帰ると電話もメールも無視された妻に怒鳴られます。社宅の件は電話で処理したと言われたヒョンスは電話一本で済む話なのに行かせたのかと頭にきて殴ります。
しかし息子ソウォンが脅えるのを見て父親と同じ事をしていると気付き手を止めます。
スンファンはヨンジェの娘が行方不明と知り、前にセリョンが森の中でパジャマ姿で泣いているのを発見して保護したときに痴漢呼ばわりされて拘留所に1日ぶち込まれた事を想い出します。
ヒョンスは妻子を連れて社宅に引っ越すとセリョンが行方不明だという張り紙を目にします。
父親ヨンジェは院長でありセリョン村の大半の土地主だとスンファンから聞かされます。ダムで捜査が開始されたと知り向かうとちょうどセリョンの遺体が発見されたところでした。
ソウォンは引き上げられるところを見ていると女性に目を隠され「目が合うと捕まって逃げられなくなる。夜になるとやってくるから見たらダメ」と言われます。ソウォンは生きていれば学校で隣の席だったので友達になっていたはずと思います。
セリョンの張り紙が村中に貼られているのでヒョンスは精神的に追い詰められ手が震えるようになります。
ヨンジェは娘は事故ではなく車に轢かれたあと口を塞がれて窒息させられ湖に捨てられたと刑事から聞かされます。
しかし体中が痣だらけで日頃から暴力を受けていたのは明白であり離婚裁判中という事で犯人だと疑われます。
セリョンが亡くなった事でショックを受けた妻が自ら命を絶ってしまい怒りが込み上げるヨンジェは村の儀式に足を運び「犯人を見つけ出して同じ目に遭わせてやる」と怒鳴り散らします。
独自調査
ヨンジェは娘を追いかけた道をもう一度確認し道路に出てダムの方へと歩いて行くと最近社宅に引っ越してきたヒョンスが湖に靴を投げて泣いている姿を目にします。
ダムに浮かぶ蛍光色な物を発見し調べると水深と入水ポイントを分かりやすくするための潜水士が使う夜間用だと知ります。
探偵を使い調べると海難救助隊出身のスンファンがいると知り訪ねます。確かにスンファンが使った物で間違いないが潜水している時間に証拠となる映像が残されていたので犯人ではないと分かります。
スンファンは恨みがあったので「あの日、セリョンが助けてとドアを叩いていたがまた濡れ衣をきせられると思い無視した」と言い放ちます。
ヨンジェは事件のあった時間にダムのゲートを通った車を調べるようお願いしたとき仕事を終えて車で帰るときに追い抜いていった車を思い出します。
調べると湖で叫んでいたヒョンスだと分かり監視すると夜になると同じように叫んでしました。
日頃から父親から暴力を受けていたヒョンスは母親が息絶えてしまっても酒を飲んでいる父親に激怒し軍靴が井戸に落ちると持主の命が消えると言い伝えがあり投げ捨てた過去がありました。
なぜか井戸の中から自分を呼ぶ父親の声が聞こえるようになり耳を塞いで逃げると村人が父親の遺体を引きあげていました。
少女を湖に投げ入れてから精神的に追い詰められ井戸の中から叫んでいた父親の声が聞こえるようになったのです。だから声がする湖に物を投げ「黙れ、消えろ」と叫んでいたのです。
復讐
ソウォンは夜になると父親が出て行くので病気じゃないかと心配しスンファンに相談します。
スンファンはソウォンを連れて捜しに行くとヒョンスの叫び声を聞きます。駆け付けると猛獣を捕まえる罠にはまっていたがすぐに病院に運んだ事が幸いして骨は無事でギブスだけで済みました。
しかし、家に警察が来たと妻が病院にやってきて「社宅を見に行った日、ここに来たの」と聞かれヒョンスは頷きながら震える手で上着のチャックを閉めました。
ヒョンスは警察に自首すると連絡し車で向かうがヨンジェが運転する車に追突されます。
拘束されたヒョンスは誰もいない警備室に監禁され激しく暴行を受けるとモニターに木に縛られるソウォンが映っていました。
ヨンジェは「水門を閉じるとすぐあふれるがどのくらいもつかな」と言いました。
必死に許しを請うヒョンスは息子を助けるために拘束された状態で突進すると2人で階段を転げ落ちます。
ヨンジェが気を失っている間に拘束を解くがどうやって操作したらいいかわからないでいると「手動は機械室」という文字を見て急いで向かいます。
その時、ソウォンを捜すスンファンから電話がありパニクってるヒョンスは「水門を開けないと」と叫ぶがヨンジェに追いつかれて殴られます。
スンファンは「水門を開けると村が全滅してしまう」と叫ぶと応答はなかったがソウォンを発見しボートで助けに行きます。
格闘の末ヨンジェを湖に突き落としたヒョンスは息子が救出された事も知らず手動で水門ゲートを開きました。警察の保護されたソウォンだがパトカーの中で村が沈んでいるのを見て驚きます。
結末/七年の夜
父親ヒョンスが捕まり母親が湖で溺死した事で息子ソウォンはまだ未成年という事もあり親戚に引き取られました。ヒョンスが村の住民半分を沈めたと報道され世間を驚かせました。
犯罪者の息子だと会社や学校に連絡がいくようになり育児放棄されソウォンは修学旅行から帰ると家がなくなっており親戚とも連絡が付かなくなりました。
ソウォンはスンファンしか頼る人がいないので泣きながら助けを求めると受け入れてくれました。
大きくなったソウォンはスンファンから仕事を学び潜水士船に乗りダイビングのガイドも任されるようになっていたが父親が死刑判決下されても学校で知られたら転校を繰り返し苦しい思いをしてきたので面会に行くことはありませんでした。
ヒョンスから頼まれたスンファンに「父親が会いたがっているから行ってやれ」と言われたソウォンは嫌々向かいます。
逮捕された直後、3年間毎月面会に行ったのに保護者としか会わないと拒否されたので今になって何故なんだと思うのです。
7年ぶりに再会するとソウォンは「なぜ助けたんだ、自分1人の命のためにどれだけ多くの命が・・」と訴えるとヒョンスは「父親だからだ」と答えました。
ヒョンスがどうしても会いたいとお願いしたのはヨンジェが自分と同じ苦しみを与えようとしている事を伝えたかったからです。
ヒョンスは「大きな借りが出来た、ありがとう、とスンファンに伝えてくれ」と最後に息子に伝え席を立ち独房で自ら命を絶ちました。
ソウォンは今まで親戚の仕事場や転校する先々の学校で事件を知られたのは精神的に追い込み自ら命を絶たせるためのヨンジェの仕業だと知ります。
ソウォンは仕事場に戻ると銃を持つヨンジェがいました。
ヨンジェはソウォンの足に発砲して拘束しセリョン湖まで車を走らせるがヒョンスが亡くなった事をラジオで知り同じ辛さを与えたいと思っていたのでイラつきます。
復讐心だけで生きてきたヨンジェは抜け殻状態になり「終わらせるのは俺だ」と怒鳴り自らの頭を銃で撃ち抜くと車がレールを突き破って崖から転落しセリョン湖に落下します。
泳ぎが得意なソウォンはなんとか脱出して命は助かりました。
早婚とスンファンは父親の葬儀を行ないました。遺品はセリョンの張り紙だけでした。
感想/七年の夜
父親の軍靴を井戸に捨てたのはなんでしょう。酒を飲んでいたので靴を捨てた時におそらく自ら落ちていただけですよね。そこで助けずに逃げたので声を忘れられないのは納得ですが。ちょっと曖昧。
そしてセリョンの遺体が発見されたときに日頃から暴力の痕跡があり離婚裁判中だったために容疑者となるはずがすぐに釈放・・・確かに犯人ではないですがそんなものでしょうかね。
疑問はおいといて・・・道に迷いながら酒を飲んでいて運転し飛び出してきた少女を轢いてしまうとどうなるか。人間は経験しないと絶対に分からないし気付いたら咄嗟に何かしてしまうものなんで恐怖を感じた。
「轢いて何故逃げるのか」とよく耳にするがあれも咄嗟に逃げてしまったんだと思う。あとからしっかり自主するべきだが怖くてできなくなる人もいるでしょう。
ま、私は運転が苦手でしないので心配はないですけどね。
最初、なんで村が沈んで死刑判決を下されたのか不思議に思っていたがそうゆう事だったのね。てっきりヨンジェが土地を手に入れるために今まで邪魔者を消していたのかと予想してしまいました。