ユダヤ人を救った動物園
第二次世界大戦中にナチスドイツ占領下のポーランドで動物園を運営していた夫婦が迫害を受けていたユダヤ人を匿い命を救った実話。
ダイアン・アッカーマンのノンフィクションをニキ・カーロ監督が映画化
ネタバレあらすじ/ユダヤ人を救った動物園アントニーナが愛した命
1939年、ポーランド・ワルシャワ
ヨーロッパ最大の規模であるワルシャワ動物園を営むヤンの妻アントニーナはいつものようにオープンさせると自転車ですべての動物に挨拶しに回ります。
アントニーナは心停止してしまった赤ちゃん象を賢明な治療で助けるとベルリン動物園を営む動物学者ヘックに気に入られます。
息子リシュの学校が始まるので文房具を買いに行くがヒトラーとスターリンが不可侵条約を結んだため真ん中に位置するポーランドから人々は逃げ出す準備を始めていました。
迫り来る危険を感じたアントニーナは動物を守るため、また逃げる人生は子供によくないとワルシャワに残るが…。
9月1日、ワルシャワはドイツ軍による空からの攻撃を受けます。アントニーナは何かあったらザレシエで待ち合わせとヤンと約束していたので急いで向かうがパニックを起こした動物たちは一斉に逃げ出しポーランド軍は象を射殺してしまいます。
ザレシエ行きの列車は運休となり乗れなかったが駅でヤンと会うことができ家に戻ると動物園は破壊されていました。
ドイツの支配下ポーランド
ポーランドはドイツの支配下におかれます。
動物園は武器庫の一部となってしまい家の前には多くのドイツ兵が滞在する事になりました。
動物園は清算される事が決まりアントニーナは涙を流すがヘックが訪ねてきて戦争が終わったら返還するから希少動物をドイツで預かり手厚く世話をすると言われます。
動物の命を最優先と考えたアントニーナは感謝してすぐに許可するが、ワルシャワはヘックの統治下でありヒトラー直属の動物学者でもあるのでヤンはなんで許可したんだと嘆きます。
生き残った動物と過ごしていたアントニーナだが銃声が聞こえたので窓から覗くとドイツ兵が冬を越せない理由で生き残った動物を射殺していました。
迫害を受けるユダヤ人
1940年10月、ユダヤ人は家を追い出されてゲットーに連れて行かれます。
友人のマウリツイも連行され、ヤンは幼い頃から親友のユダヤ人シモンから昆虫の標本を保管してくれと頼まれ引き受けます。
ユダヤ人に水を運んだだけでも撃ち殺される事になるがアントニーナは見て見ぬ振りは出来ずマウリツイの妻マグダを地下に匿います。
すべてのユダヤ人がゲットーに押し込まれ暖を取るための薪もなく食料もごくわずかしか与えられません。
ゲットーに入るためには通行証が必要でありヤンとアントニーナは知恵を絞ります。
「戦後のために動物園を守りたい。空腹なドイツ兵のために養豚馬として使ってほしい。エサはゲットーの生ゴミを与えます」
バイソンから絶滅したオーロックスを再生したい狙いがあるヘックは次いでに繁殖計画を始めようと許可します。
これにより豚のエサを取りに行く必要があるため通行証が発行されアントニーナ達はゲットーに出入り出来るようになります。
ユダヤ人を救う
ヘックの行動を見張るためアントニーナは繁殖計画を手伝うが自分に好意を持っていると気付きます。
ヤンは豚のエサを取りに行くとユダヤ人への酷い扱いに胸を痛めます。マウリツイやコルチャック先生に密かに食事を届けたあと手伝ってくれた子供を生ゴミの中に隠し連れ出します。
豚を移送させる車に乗せワルシャワから子供たちを逃すが暴行された少女ウルシュラだけは連れて帰りアントニーナに世話を頼みます。
アントニーナは少女と同じ年の頃に父親が射殺され人は見た目で分からなくなったのでこんなにも動物が好きなのかも知れないと語り生き残っていたウサギを見せるとウルシュラは優しく撫で始め弟の名前であるピョードルと名付けました。
ヤンは同じ方法でユダヤ人をワルシャワの外へ逃がし女性と子供たちは家の地下で匿います。
昼間は地下で身を潜め、真夜中にピアノの音が聞こえたら出てきても大丈夫だと伝えるが昼間にピアノの音は隠れる合図だと忠告します。
ドアがノックされアントニーナは急いでピアノを弾くとユダヤ人は隠れます。
ワルシャワ・ゲットーの労働局長ツィーグラーが訪ねてきて「シモンは胃潰瘍で亡くなった。昆虫の標本を見せてくれ」と言いました。
シモンと一緒によく昆虫採集をしていたツィーグラーはユダヤ人を助けていることを聞いており「ゲットーの壁と労働局の壁は接している。街の自由な方へ出られる扉とゲットー側へ入る扉と2つあるがどちら側へも通行可能な書類を用意する」と言いました。
ヤンは仕事仲間だと偽りユダヤ人を次々と連れ出し親友のマウリツイを助ける事に成功します。
マウリツイは妻マグダと再会を喜ぶが匿ったらヤン達に危険が及ぶと心配します。しかしアントニーナがピアノを弾き始めると多くのユダヤ人を匿ってくれていたんだと分かり涙を流します。
絶滅収容所
ヘックがアントニーナの手を洗ったり接近しているのを何度も目にしてきたヤンは目に余る行為だと不満を口にします。
アントニーナは匿うユダヤ人のために我慢しているのでどうしていいか分からなくなります。
1942年8月5日、ユダヤ人はゲットーから移送される事が決まり列車に押し込められます。
ユダヤ人の手荷物がすべて没収されているのを見たヤンは移送先を調べると待っているのは「死」だと分かります。
1943年4月、逃がした親子がユダヤ人だとばれてしまい射殺されてしまいます。
アントニーナは自分が変装させた事が目立つ存在にさせてしまったのではと落ち込みます。
親衛隊ヒムラーが殲滅を宣言したためゲットーは一掃されアントニーナが守る隠れ家にまで燃えかすが飛んできます。
結末
ヤンが地下活動で不在する事が多くなるなかアントニーナは女の子を出産しテレサと名付けます。
1944年8月1日、ポーランド国内軍はナチス・ドイツに対し蜂起し地下活動をしていたヤンも戦うが首を撃たれ捕虜収容所へ連れて行かれます。
国内軍は制圧されワルシャワ市民は退避せよと放送が流れます。
ソ連軍の進撃が始まりドイツは打破される事が予想できるがワルシャワは安全な街ではなくなったのです。
1645年1月、ドイツはベルリンへ撤退する準備を開始しアントニーナはヤンの消息が知りたいとヘックを訪ねるが強引に身体を求められます。
「あなたは最低よ」と言い放つとヘックは何か隠すために自分に対し笑顔を見せていたのだと気付きます。
アントニーナは急いで隠れ家に戻り「爆撃されるからすぐ退却しろとヘックが言っていた」とドイツ兵に伝えます。
そしてユダヤ人に早く荷物をまとめるよう伝え動物を移送させるトラックで逃がしました。
アントニーナは息子を地下で待機させその場に残っているとヘックがやってきて家の中を捜索し始めます。
地下を発見したヘックは壁にユダヤ人が描いた絵を発見し匿っていたのだと知ります。
何人匿っていたんだと怒るヘックだが銃を下ろし去って行きました。
アントニーナとリシュは生き残ったウサギと置き去りにされたバイソンを連れて人々と退避を始め、森の中にバイソンを逃がします。
終戦の日1945年9月から1年後、
アントニーナはリシュとテレサを連れてワルシャワ動物園に戻ると次々と匿っていたユダヤ人が戻ってきます。
農作物が育ってきた頃テーブルを拭いていたアントニーナは顔を上げると死んだと思っていたヤンを目にし走り出します。