告解|薬丸岳
私が好きな作家さんで乱歩賞作家・薬丸岳の新著・贖罪の在り方を問う傑作長編。
あらすじ
加害者に心から笑える日は来るのか!!
大学生の翔太は飲酒運転で轢き逃げ事故を起こしてしまう。
自分のこの先の未来はどうなるのか、大切な恋人や家族はどうなるのか。あまりの恐怖に罪から目をそらし続けていたが懲役4年の実刑が下される。
また被害者の夫は認知症を抱えながらもある思いを胸に翔太の出所を待ち続けていた。
ネタバレ|告解

加害者
大学生の籬翔太は飲んで帰宅するが恋人・綾香に呼ばれ車で向かう。
法輪昌輝は母親かどうか確認してほしいと電話を受けると、父・二三久が心臓が悪いので妹・久美に実家に行くよう頼み警察署に向かう。
何かに乗り上げ引きずった自覚がある翔太は人ではないはずだと自分に言い聞かせていたがニュースを見て激しく動揺する。
自首すれば、コメンテーターの父親はバッシングを受け姉の結婚は破談、綾香も自責の念に駆られてしまう・・・しかし警察がやってきて連行されることに。
判決
地方裁判所では翔太の供述が言い訳ばかりであるため検察官は懲役6年が相当だと述べるが母親を引きずり殺された昌輝たちは軽い罪だと思う。
結果、執行猶予はつかず実刑・懲役4年10カ月の判決がくだされる。
翔太が出所したころには、
父親は酒浸りの生活、離婚した母親は実家で生活し姉も血痕が破談になっていた。
また翔太の子供を出産し病院で働いていた綾香だがその事は伏せ友達として立ち直るために支えようと決断。
償いとは
罪に対する償いではないと弁護士に言われる翔太だったが怖くて謝罪に行けず。
ネット上には自分のことだけでなく家族までさらされ、いつでも逃げれるように日雇いの仕事を始める。
酒に溺れるようなった父親が亡くなり、自分のせいだと涙する翔太は怖くて遺書を読めず。
綾香に支えられ少しずつ向き合う翔太は面接で正直に過去を話したうえで正社員の介護職員として働き始める。
しかし同じアパートに住む認知症の老人が被害者の夫・二三久だと知り逃げ出す。
綾香から謝罪しに行こうと訴えられ拒否するが子供がいることを知って驚き、逃げ続けたら笑えなくなると父親の遺書を目にし決断。
結末|告解
二三久は多くの人を銃剣で殺しており帰還して裁きから逃れたが亡霊を目にしていました。苦しみから解放されたくてヒロポンに頼ったがそのせいで大事な娘・文子の異変に気付けず失う事に。
己を責めヒロポンをやめ善良に生きる事を選んだが君子も失う事になったのですべては自分の行いのせいだと思っていました。
翔太は自分の愚かで身勝手な行動が原因だと謝罪し被害者遺族にも謝罪に訪れる。
綾香と拓海と一緒に暮らすが籍は入れず、二三久と君子の命日には必ずお墓を訪れます。
事件から11年経ち昌輝と会うと、母親は優しい性格だったからもうじゅうぶんだと思っているはずと言葉をもらいます。
感想|告解
昔よりもネットの時代の方が風当たりは強いでしょうね。
正直、家族や兄妹が不幸になるのはいかがなものかとは思います。
ただ、命を奪ってしまった加害者は本当にその気はなく事故だったとしても一生背負って生きていくのは当然だと思います。
「いつまで」ではなく「一生」です。
薬丸岳さんの「友罪」は加害者の立場になって考えさせられたが、
翔太はなんかずっと自分が被害者かのように生活していたのでどうも感情移入は出来なかったな。
それに尊敬する父親の遺言と支えてくれる綾香がいなければ、怯えてずっと逃げ続けていた気がする。
そもそも最初から謝罪から逃げていたし・・・
ただ実際に反省して生活している人はどれくらいいるんでしょうかね・・・。
そして法輪二三久、ちょっとややこしい設定でしたね。二三久がたまたま己を責めすべて自分の行いのせいだと受け止める設定だったから謝罪しやすかっただけに思えてしまう。
「物語」として考えれば納得できますけど「贖罪」についてもっと重く描いてほしかったなとは思います。
自分の母親が200メートルも引きずられて殺されたら「もうじゅうぶんだ」なんて一生思えないのではないかな・・・。